
今回は、振り込め詐欺対策の最終手段についてのお話です。
最終手段って何!?っていうと、
大金を下ろそうとする高齢者と、警察官との面接です!!
は?
警察官と面接??
はい、警察官と面接。
お金を下ろそうとするだけで!?
はい、お金を下ろそうとするだけで。
このご時世、銀行などの金融機関で大金を下ろそうとする高齢者がいると、金融機関側が管轄の警察署に連絡を入れるんです。
なんでかって?
「高齢者の振り込め詐欺被害を防止するため」に決まってるじゃないですか!!
ん~、イマイチピンと来ていないようですね・・・
では、超詳しくお話いたしましょう!
この、元POLICEMANのけたろーが!
この記事はこんなお話
銀行で大金を下ろそうとすると、警察を呼ばれるって本当!?
振り込め詐欺、特にオレオレ詐欺被害が全国的に多発していることから、各都道府県警察は管轄内にある銀行、信用金庫、郵便局に対し振り込め詐欺の水際防止の協力依頼をしています。
それは何かというと、
高齢者が金融機関で大金を下ろそうとした場合、理由のいかんを問わず、管轄の警察署に通報してもらう
というものです。
「大金」がいくらからであるかという基準は各都道府県警察または各警察署でまちまちですが、100万円以上は間違いなく大金であるとみなされるでしょう。
警察に通報して、警察官が来て何をするかというと、
「その大金、何に使うの?」
と言う事を、その事実の裏付けが取れるまで徹底的に聞かれます。
そう、こんな風に。
どうしてお金をおろすだけで警察を呼ばれるの!?
どうして高齢者が、金融機関から自分の預貯金を引き下ろすだけで警察を呼ばれてしまうのでしょうか?
その理由は至ってシンプル!
振り込め詐欺の被害者の大半が高齢者だから
です!
振り込め詐欺に騙されて洗脳されてしまっている高齢者が大金を用意するためには、預貯金を金融機関から引き落とす必要がありますよね?
その預貯金を引き落とそうとしている高齢者を直に警察官が面接し、お金の使用用途、金額の妥当性などの確認・裏付けを取ることで、振り込め詐欺の被害を水際で防いでしまおうという試みです。
この取り組みが始まってから既に10年近く経っていますが、実際に数多くの高齢者が振り込め詐欺に騙されてお金を引き落とそうとして、水際で警察官に救われています。
この事実、おそらく高齢者以外にはあまり知られていないと思います。
どうです?知ってました?
実際に警察官を呼ばれて面接を受けたという高齢者もたくさんいるはずです。
警察官は、お金の使用用途についてどこまで聞いてくるの!?
金融機関からの管轄警察署への通報により、担当警察官が金融機関に臨場します。
そこで警察官が高齢者に聞くことは、
「お金の使用用途」はもちろんのこと、その大金の支払先へ対する裏付けや、高齢者と同居している家族に対する確認など、徹底して聴取されます。
本当にかなり突っ込んで話を聞いてきます。
少しでも高齢者が
「めんどくさいから話したくない!」
とか、
「俺の(私の)お金でしょ!」
なんて反発しようものなら、その後何時間かかろうが徹底して説得&聴取され、確実な裏付けを取るまで帰してくれません。
曖昧な答えをするということは、既に騙されている可能性があるんです。
それに、騙されている高齢者は皆一様に頑なな態度をとります。
この警察官との面接は、振り込め詐欺に騙されている高齢者に「それ、詐欺ですよ!あなた騙されてますよ!」と理解してもらう場でもあるのです。
実際にわたしも現職時代にこの聴取に度々出動していましたから、その時の実例をいくつか挙げてみますね。
実例①:「家のリフォーム代」名目の引き落としによる現場臨場で、被害未然防止
このように、「何に使う」「何という会社でリフォームする」「担当者は誰?」「電話番号は?」「リフォーム開始の予定日は?」などと具体的に一つずつ質問していくことにより、相手が徐々に返答に困り、「実は・・・」と切り出してくるパターンはよくあるケースです。
振り込め詐欺の犯人は、金融機関に預貯金を引き下ろしに行く高齢者に対し「窓口では○○って言ってね」と、預貯金の引き落としの際の文言をあらかじめ伝えているケースがあります。
だから警察官は、事件ではないけれども初めから高齢者のことを疑ってかかります。
疑ってかからないと、高齢者の言葉の裏に隠れている詐欺被害を見透かすことができないのです。
善良な市民を疑うのは非常に心が痛みましたが、高齢者が被害に遭ってしまうのはその何十倍・何百倍も心が痛みますからね。
では次の例です。
もう実際に、ディーラーにお金を支払えば契約終了という所まで話が進んでいると聞いています。
え?ディーラーはどこかって?
お巡りさんも知ってるでしょ?○○市にあるネッツト〇タですよ!担当者は△△さんです。
~事情把握~
ええ、確かに○○さんからは弊社の車をご購入して頂けるということで、見積もりを出したりしましたよ。
なんでも、お孫さんが大学を卒業されるから、それを祝ってプレゼントするんだって仰ってましたね。
ええ、お車代は一括でお支払いいただく予定でおります。お車代は200万円を頂戴いただく予定でおります。
このように、一見して「孫」+「大金」という要素が重なり、ぱっと見「オレオレ詐欺じゃないの?」と感じる事案でも、よくよく話を聞くことで、真っ当な理由でお金を下ろそうとしているケースもあります。
ですから、可能な限りたくさんの関係者から裏付けを取って、今回のように「見積書」のような確証が出てきて振り込め詐欺の被害者ではないと確証を得られるのが理想です。
なので高齢者の方は、金融機関で警察を呼ばれて早く帰りたいときは、このような確証を自ら数多く提示して警察官を納得させることで開放してもらうことができますよ!
最後に、こんな事例も存在しました。
事例③:振り込め詐欺ではないが、預金の引き落としをストップさせた例
それに、おばあちゃんの住んでいる地域、空き巣も多いですよ!泥棒被害に遭ったら、その100万円盗まれちゃうかもしれませんよ?
このように、高齢者の中には結構な割合で「自宅に大金を置いておきたがる人」が存在します。
面接した相手がそんな方だった場合は、説得して現金の引き落としを踏みとどまらせます。
こういうケースも意外と多かったですね。
警察を呼ぶ銀行と呼ばない銀行、どっちが信頼できる?
この「大金引き落とし時に警察官を呼ぶ」という行為は、金融機関が自発的にしているものではなく、各都道府県警察が金融機関に依頼しているものです。
正直なところ、金融機関とすれば、警察官を呼ぶことで円滑に預貯金の引き落とし業務が進まないばかりか、「警察官との面接を受けてもらう」と顧客に伝えて顧客に激しく文句を言われることだってあります。
高齢者が大金を引き落とすとき、別に警察に通報しなくても何も罰則も無いし、業務も円滑に進むし、顧客の機嫌を損ねることもありません。
ただ、「面倒だから」「顧客とは昔からのお付き合いだからこの人に限って・・・」という理由で警察官を呼ばない金融機関は、「傲慢で顧客のことを第一に考えていない金融機関である」と断言できます。
金融機関によっては、「高齢者にお金の引き落としを命じたのは警察官だ」という事実を作るため、あえて警察官を呼びまくる金融機関だって存在します。
だって、「警察官との面接の結果」という事実を挟めば、たとえその顧客が振り込め詐欺の被害に遭っても、金融機関側としては「警察官と面接を受けた結果、警察官から引き下ろし許可がでました」と警察に責任転嫁することができますから。
まあ、この場合は金融機関側はちょっとズル賢いともとらえることができますが、最終的に高齢者の顧客を警察官と面接に結び付けられればOKです。
顧客に面倒な思いをさせても、顧客に振り込め詐欺被害に遭ってもらいたくない。そう考えて行動してくれる金融機関が理想です。
おわりに
もう十分にわかっていただけたと思いますが、高齢者が金融機関で大金を下ろそうとするときは、もれなく警察官との面接がセットでついてきます。
セットでついてこなかったら、その金融機関は顧客第一という考えではありません。
警察官との面接は、振り込め詐欺被害防止のための最終手段です。
ここで見過ごされれば、引き下ろされた現金は犯人の懐内に入るだけなんですから。
この取り組みをどうか理解してください。
わたしも現職時代、このような事案でさんざん高齢者に文句垂れられました。
現場の警察官は、そんな文句にも負けず、高齢者が振り込め詐欺の被害に遭わないよう目を光らせています。
そこを理解した上で、どうか素直に面接に応じていただきたいと思います。
また、当記事を読んでいる若年層のあなたも、「高齢者が銀行で大金を下ろそうとすると警察官と面接があるんだって」と言う事を、おじいちゃんやおばあちゃん、両親にぜひお伝えいただき、周知して頂ければと思います。
「警察官との面接」なんて聞いてビックリするかもしれませんが、警察官は善良な国民市民の味方です!安心して下さいね!
では、今回はこれまで!
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