
今回は、警察学校・・・いや、警察で働いていく上で最も大事な事項の一つ「物品管理」についてのお話。
警察では、勤務に使う制服の全てや消耗品の一部を「給貸与品(きゅう・たいよひん)」として支給されます。
給貸与品は、文字通り、警察組織からの借りものです。
元を辿れば、各都道府県民の税金です。
警察では、物品を無くした場合、とんでもないことに発展する可能性があります。
超大事な話なので、確実に頭に叩き込んでくださいね!
この記事はこんなお話
「給貸与品」って、なに?
警察組織から支給又は貸与される、制服一式、帯革、警棒等の装備品はもちろん、階級章や識別章等に至る一切合切のことを「給貸与品」と言います。
もちろん、借り物ですからきちんと管理する必要があり、必要に応じて交換又は返還する必要があります。
個人負担で買う必要が無いので、言い換えれば全て県民国民の税金が元手になっています。
「給貸与品」の他に大事なものは?
給貸与品の他に大事なものと言えば、「捜査書類」はもちろん、事案対応した時のメモなどです。
「大事な物」としての判断基準は、極論「ゴミとして違和感なく捨てられるか」と言うことですね。
個人情報たっぷりの捜査メモや捜査書類なんて、普通にごみとして丸めて捨てるにはちょっと抵抗があるでしょ?
そういう「あれ?これ、捨てたり無くなったりしたらヤバいやつじゃね?」というのは、大体とても大切なものです。
大事な物を無くすとどうなるの?
警察では、給貸与品や大事な物を無くしてしまった場合、とんでもない事態に発展することがあります。
どういう事態になるのかは、おそらくあなたも一度は耳にしたことがあるかと思います。
そう、「警察の不祥事」とか「警察の非違事案」なんていう扱いですね。
「〇〇警察署の警察官が、個人情報の書かれた捜査書類を紛失していたことが判明し、後日、事案対応に当たった民家の中で住民が発見していたことがわかりました。情報の漏洩は無く、警察官の置き忘れが原因だということです。」
または、
「〇〇警察署の警察官が、コンビニのトイレ内にけん銃一丁を置き忘れ、発見したコンビニ従業員が警察署に連絡、これを回収していたことがわかりました。実弾は発射されていませんでした」
なんていうニュースを聞いたことありませんか?
警察が扱う装備品は、人命すら左右する危険な物であり、警察が扱う情報は個人情報満載の機密性に溢れたものです。
これらが一度警察官の手を離れてしまい、一般人の手に渡ってしまったらどうなりますかね?
上の例では見つかっているからまだいいですけど、反警察な人間の手や極悪人の手になんか渡ったら、一気にヤバくなりますよね?
「〇〇さんが被害に遭った」なんて事件の詳細が書いてあるメモや捜査書類がツイッターなんかのSNSに投稿されて拡散されたら、その被害者の尊厳に大いに傷をつけてしまいますよね。
拳銃を置き忘れて悪人の手に渡って殺人事件なんかに発展したら最悪。
そうなったら、もはや無くした本人一人の責任では済みません。
あなたの直属の上司はもちろん、課長や事態によっては署長・副署長・下手したら警察本部長まで責任対象になります。
そして、あなたはもちろん懲戒処分を食らって依願退職です。
警察が保有している給貸与品や大事な物にはそれくらいの力があるんです。
そんな事態に発展するのは極ごくまれですけど、有り得ない話ではありません。
給貸与品をはじめ、捜査書類やその他大事な物を無くした場合、まず、関係課の休みの警察官まで招集され一斉大捜索が実施されます。
無くした本人の持ち物の中はもちろん、そいつが立ち寄った場所、事案対応した場所なんかを全員で徹底的に見つかるまで捜索させられます。
ここで見つかれば、大目玉を食らいますが御の字だと思ってください。
警察学校でもこれは同じ。校内の至る所を学生全員で一斉大捜索です。
警察学校では無いでしょうけど、物が見つからなくて、それが大切な物だった場合、署長を経由して本部まで連絡が行き、場合によっては広報されて日本中に報道されることもあります。
ね?
怖いでしょ?
あなたが踏み込もうとしている「警察」って、そういう組織です。
何度も言いますが、警察では、それだけ物品管理って重要なんです。
物を無くさないための物品管理法
物を無くさないようにするための基本は、「確実に目で見ること」「ことあるたびに触ること」「自分の体に結束すること」「不要な物を持ち歩かないこと」の4点です。
個別に説明していきます。
①「確実に自分の目で見ること」
これは、その物が間違いなく存在し、その物が間違いなく「その物」なのかどうか、自分の目で見ることが大切だということです。
どうしても慣れてくると「あるだろう」になってしまい、確認が簡易的になってしまいます。
「あるだろう」ではなくて、「ある」ことを確実に自分の目で見るんです。
次です。
②「ことあるたびに触ること」
これは主に装備品について。
警棒、拳銃、手帳、その他の装備品が確実に身につけられているか、ということを「移動するたび」「事案対応のたび」「行くとき」「帰るとき」に、ばばばばばっと触って確認するんです。
この「触る」ということを習慣化するんです。
癖になれば嫌でも触り続ける事になりますから。
次です。
③「自分の体に結束すること」
これは、警察学校生の場合には主に「鍵」についてですね。
キーチェーンによって体に結束してしまえば、基本的に外れてなくなることはありません。
キーチェーンで結束して鍵を無くしたというのを見たこともありません。
キーチェーンは、伸び縮みのするゴム製がおススメ!
④「不要な物を持ち歩かないこと」
物を無くさないためには、物の絶対数を減らすことが最も効果的です。
物があるから無くなるんです。
物が無ければ無くなる物もないのです。
物品への記名は基本中の基本!
警察学校への入校案内に「物品には必ず記名をすること」とあるはずです。
「何を今さら小学生みたいなことを」と思う方も多いでしょう。
でも、これも「物品管理」という訓練のひとつです。
さらに、学生が何十人何百人、警視庁なんかだとウン千人という学生がひしめき合う中で、自分の物品だといち早くわかることはとても大事。
衣類はもちろん、文房具や日用品にまで全て記名することをおススメします。
逆に「記名が必要」だとわざわざ入校案内に書いてあるのに記名していない場合、教官からの指導対象になる可能性があります。
小学生の時のように、持ち物全てに記名しておいて、損することは何もありません。
油性ペンで名前書いてもいいですし、テプラやネームランドで作って貼り付けてもいいです。
以上でーす!