
毎年1月10日は「110番の日」です!
皆さん知ってました?
1月10日付近になると、全国の各警察署が一斉に110番の利用方法についてのキャンペーンを行いますよね。
そのキャンペーンでは、「110番を正しく利用しよう」という啓発活動が一般的ですが、110番通報の威力がどれほど凄いものなのかということまでは話題に上がりません。
そこで今回、元POLICEMANであるわたくしけたろーが、事件発生時に110番通報を利用した場合と、管轄警察署に加入電話で通報した場合とでは、どれほど差が出るのか等について詳しくお話していきますよ!
この記事を読んだ後、あなたの110番通報に対する概念が変わること間違いなし!
さあ、行ってみましょう!
この記事はこんなお話
「110番」って、何?
日本人であれば、小さいころから当たり前のように「警察は110番」「消防は119番」と教えられますよね?
「110番」はあなたが知っているとおり、万が一の時や緊急事態発生時に、国民と警察を迅速に繋ぐ、緊急通報ダイヤルのことを言います。

わかった???
110番通報VS管轄警察署への加入通報
警察に通報したことがある人であれば分かると思いますが、110番通報をしたらいいのか、それともその場所を管轄する警察署の加入電話あてに通報した方がいいのか、悩むことがあるかと思います。
今回は、110番通報した場合と、管轄警察署の加入電話に通報した場合とでは、どっちが初動対応が早いのか、そしてどのように違うのか、模擬事件を用いて詳しく説明していきますよ!
事例1:110番通報を利用した場合
それではまず、110番通報を利用した場合からお話していきます。
バッグをひったくられました。
警察本部から管内活動中の各局は傍受せよ。
○○警察署管内は、現在発生のバイク利用ひったくり事案入電中。
現場、〇市〇〇地内ポコ駅西口付近。
〇〇1(パトカー名称)、○○2は現場方向へ向かえ。
以上、警察本部!
すぐに出動準備だ!すぐ行くぞ!
・・・ええ、場所はポコ駅から300mくらい西に行った場所です。
・・・ええ、ひったくられたのはビジネスバッグです。
・・・ええ、バッグの中には会社の書類とか入っています。
・・・ええ、財布は入ってませんけど、わたしの免許証が入ってます。
警察本部から○○(警察署名)
2、3分前発生のひったくり。
現場、〇市○○ポコ駅西口から西方に約300mの地点。
犯人特徴、バイク利用の男1名。
被害者の後方からバイクで近づき、追い抜きざまに被害者が所持していたビジネスバッグを奪取。
犯人は、そのまま西方に逃走し、直近の交差点を南方に左折。
管内活動中の各局は、至急現場付近の警戒に当たれ。
間もなく緊急配備発令予定。
以上、警察本部。
警察本部から管内活動中の各局は傍受せよ。
〇〇警察署管内、〇市〇〇地区ポコ駅西口付近発生のひったくり、現時点、〇〇警察署に対し緊急配備を発令する。
応援協力隊、自ら隊(自動車警ら隊)、機捜隊(機動捜査隊)とする。
・・・(事件情報の共有)・・・
以上、警察本部。
110番を指令する通信指令課は、通報者と話をする「受理担当」と、警察官に事件情報を発信して指揮をする「指令担当」がそれぞれ分かれているんです。
このように、重大な事件であればあるほど、警察側の受理担当と指令担当が緊密に協力します。
なので、上の事例のように、110番通報をして「○○事件」と分かったとたん、管轄の警察署に予告指令を出したり、受理担当が被害者から事情聴取をしている最中に緊急配備をかけたり、関係各局に対して指令をすることができるのです。
つまり、通報者が110番通報をして警察官と話しているのと並行して、その裏では関係部署に通報された情報が迅速に共有され、素早い立ち上がりを実現している、というわけです。
110番通報はマジで動きが速いですよ!
事例2:管轄警察署に加入通報をした場合
次に、110番通報を利用せずに、その場所を管轄する警察署の加入電話あてに通報した場合を再現します。
え~・・・管轄の警察署は・・・
あ~、○○警察署ね。
電話番号は・・・
ぴ・ぽ・ぱ・ぴ・ぽ・ぴ・ぱ・ぽ・・・
・・・え??たった今ひったくりに遭った?
ちょ、ちょっと待ってくださいね!
今、担当者に代わりますので!
~♪~♪~♪~
ひったくりに遭ったということですが、詳細を教えてもらえますか?
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
(警察署にて事件詳細を聴取する。この間、街頭活動中の警察官へ無線指令は無し)
分かりました。
それでは、これから現場に警察官を向けますから、少々お待ちください。がちゃっ!
現在、当署にて加入電でひったくりの発生の通報あり。
発生日時・・・(以下事件詳細が伝えられる)
以上○○。
この「警察署→本部通信指令課」への無線報告は、街頭活動中の警察官も傍受していますので、すぐさま現場付近に直行します。
この無線により警察官が現場に大量に向かってくるとしても、
- 警察署の加入電話番号を調べるロスタイム
- 事務員から無線担当に電話相手を交換するロスタイム
- 警察署の無線担当が被害者より事件詳細を聴取中、街頭活動中の警察官には何も知らされないため、即応できないというロスタイム
など、ストレートに110番通報した場合に比べ、ロスタイムがかなりのものになります。
つまり、緊急時に警察署の加入電話に通報するのは、結果的に対応が「遅い」と言えます。
「対応が遅い」ということは、電話を110番に掛けるか、警察署の加入電話に掛けるかで「本来捕まる犯人に逃げられてしまう分岐点になる」とも言い換えることができます。
おわりに
どうです?
110番通報がいかに素早いものかわかってもらえました?
110番対応、すごいでしょ?
だって、110番・・・つまり、本部通信指令課は・・・
警察の「初動捜査の要」なんですから!!
彼らが110番を正しく素早く受理し、迅速に指令を出すことにより、数々の事件がスピード解決してきた歴史があります。
だから、緊急事態は「110番」ですよ!