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けたろー
こんにちは、けたろー(@ketaroou)です!
ポコ
誰かボクのお家も緊急工事して!のポコだっポ!

今回、全国の皆さんにご紹介するのは、山形県大蔵村の肘折温泉郷入口にある日本一の桟道橋、「肘折希望大橋(ひじおりのぞみおおはし)」です!

わたしは、初めて肘折温泉郷に行った時、入り口にある橋があまりにも新しいので、「なんでこの橋だけこんなに新しいんだろう?」という疑問を持ちました。

色々調べてみると、大体の理由はわかりましたが、詳しく書かれている記事が一つも無い!

とても感動的な話なのに、これを記事にしない手はない、と思ったのでここに記します。

この橋は、肘折温泉郷の人々にとってまさに「希望」!

ある日突然、肘折温泉郷に襲い掛かった災害からこの温泉郷を救った救世主だったのです。

そしてその陰には、命がけでこの橋を建設した施工業者や県職員たちが存在しました。

「肘折希望大橋」データ

橋の名称 肘折希望大橋(ひじおりのぞみおおはし)
橋の所在地 山形県最上郡大蔵村南山 県道57号線(肘折温泉郷入口)
施工開始日 平成24年8月11日(工事着工式開式日)
仮開通日 平成24年12月31日
本開通日 平成25年11月30日
発注者 山形県
工事名称 山形県主要地道戸沢大蔵線道路災害応急本工事
施工業者 沼田建設株式会社(新庄市)、永井建設株式会社(新庄市)他
総工費 約19億円
アクセス 肘折温泉郷:肘折いでゆ館前駐車場から車で1分
こんな時に利用するのがベスト! 肘折温泉郷への旅行に行った時!

(参考:大蔵村HP

肘折温泉郷を襲った災害

肘折温泉郷に突然襲い掛かった災害、それは大規模な地滑りです!

平成24年4月10日午前11時20分ころ、肘折温泉郷へのメインルートである「県道戸沢大蔵線(県道57号線)」肘折温泉郷直近において、県道の一部を含めた山の斜面が崩落しました。

画像引用:大蔵村HPより

肘折いで湯館の北方の場所が崩落現場です。

緊急対応の結果、その日の夕方までに何とか片側通行ができるまでになりましたが、再び崩落する危険性が高まりました。

再崩落に備え、一刻も早く同所を通行止めにする必要がありました。

迂回路の完成を待ち、地すべりから11日後の4月21日の午前9時をもって、崩落現場付近は完全通行止めになったのです。

そして崩落現場は、24時間の監視体制に突入しました。

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襲い来る再崩落と温泉郷ダム化の危険性

国と山形県が崩落現場を視察・協議した結果、再度同じ場所が崩落した場合、肘折温泉郷を流れる銅山川が土砂によりせき止められてしまう可能性があることがわかりました。

この銅山川は、月山をはじめとする山々からの豊富な湧き水や雪解け水、または大雨などが降って増水すると、とたんに「暴れ川」と揶揄されるほど危険な川に変貌を遂げるのです。

少しの大雨で増水します。

見てわかる通り、雨により川が暴れると、こういう風に増水します。

そして、再崩落により銅山川に土砂が流れ込み水がせき止められた場合、最悪、肘折温泉の一部がダム化してしまうという恐ろしい事実が判明したのです。

つまり、肘折温泉水没の危機です!

そんな状態ですから、そのままにしておいていいはずがありません。

国土交通省と山形県は、肘折地区の緊急対策工事を実施することを決定しました。

そして万が一再崩落が起こり土砂が流れ込んでも銅山川が閉塞してしまわないよう、「河道閉塞対策工事」を行うとともに、崩落場所の程近くにある「肘折いでゆ館」の河川沿いに水害対策として1800袋もの土嚢を積み上げました。

画像引用:大蔵村HPより

物凄い量です。いかに銅山川の水害が危険視されていたかわかります。

さらに、崩落してしまった県道を復旧させるのはもはや不可能であるという結論に達し、ループ型の新しいアーチ型の橋の建設が必要になりました。

「新しい橋」着工!

地すべりから4か月後の8月11日、吉村県知事を招いて新しい橋の着工式が行われ、工事が開始されました。

その橋の計画案では、従来の道に沿いながら崩落箇所を避け、その手前を大きくカーブしながら下の道につなぐという計画。

橋の長さは約240mにも達し、日本最大のループ型の橋となる予定です。

橋の支柱には太さ60cmの鋼管杭(こうかんくい)を大量に使い、その上に鉄板を敷きアスファルト舗装をするということになりました。

ですが、もちろんそのまま杭を打ち込めるはずも無く、取り付け道路の地盤から施工しなおす必要がありました。

その地盤工事に使われたのは土砂ではなく、土砂の100分の1の重さで済む発泡スチロールが使われました。

これにより、崩落現場付近の脆弱な地盤での加重軽減や工期の短縮につながります!

鋼管杭を岩盤まで打ち込み、覆工板を取り付けろ!

工事はまず、136本もの鋼管杭を3種類の打ち込み方法を用いて、岩盤まで打ち込むところから始まりました。

鋼管杭の打ち込みが開始されたのは10月1日。地すべりから約5か月後のことです。

鋼管杭の打ち込みには難航を極めました。地中に硬い岩が多数埋まっていたため、地中に打ち込んだ杭がへこんだり曲がったり大変な作業でした。

画像引用:大蔵村HPより

そうなると当然のように徐々に工事は遅れていきました。

工事が遅れて嬉しい人など誰もいません。

だって、肘折温泉郷までのメインルートの工事ですからね。

一刻も早い開通が望まれていましたので、工事の遅れを取り戻すため、10月25日から人員・重機を増やして24時間工事に切り替え、土木事業者だけではなく、県職員も25人体制でサポートに当たりました。

全136本の鋼管杭の打ち込みが終了したのが、地すべりから約8か月後の12月18日のことです。

休む間もなく橋の上部を覆う覆工板(ふっこうばん)の取り付けが開始されました。

1枚430kgもある鉄製の覆工板を全部で1091枚も設置するという途方もない作業です。


画像引用:大蔵村HPより

この作業が本格化したのが12月28日。まもなく年が変わるというときです。

覆工板を規則正しく設置して、隣り合ってる覆工板同士を溶接して接続するという方法なのですが、これも難航を極めました。

命綱を付けて、高さ約19mもある所での溶接作業。しかも作業していたのは真冬です。

まさに命がけの作業が続いたのです。

命がけで戦っていたのは土木作業員だけではありません。

地元肘折温泉の皆さんも、そんな土木作業員をバックアップするため、温かい料理を作っては作業員に差し入れをしました。

画像引用:大蔵村HPより

肘折温泉の方々の不安を少しでも軽くするため、工事の進捗状況を知らせる広報誌を作成し配布したりして、情報を共有したりもしました。

覆工板の取り付け工事はその後も休むことなく続けられ、12月30日午後7時、1091枚という途方もない量の覆工板が全て取り付けられました。

作業が本格化したのが12月28日です。たった数日でこの量をやり遂げたのです!

道路を舗装せよ!

ですがまだ終わりません。

覆工板取付完了後のわずか2時間後、12月30日午後9時から、今度は道路の舗装作業に入りました。

画像引用:大蔵村HPより

全ての作業が終わったのが大晦日の午前2時30分のことでした。

土木作業員の不眠不休の奮闘があった結果、地すべり発生から約8か月半、新しい橋の工事が開始されてからわずか90日で、肘折温泉に続くメインルートは無事に仮開通を迎えることができました。

一番最初に申し上げた通り、ただの橋ではありません。

日本一のループ橋です!

工事は積雪との戦いだった

橋を建設するに当たり、工事作業の他に作業員を苦しめたものが大雪です。

橋を建設中の12月7日から、肘折地区では1日50cmから60cmもの雪が降りました。

画像引用:大蔵村HPより

肘折地区は、全国屈指の豪雪地帯です。

毎年当たり前のように2m以上雪が積もります。

この雪が、工事を遅らせる原因となったのです。

12月12日には、積雪量が1m20cmを超えるほどになりました。

画像引用:大蔵村HPより

もちろん、建設中の橋には屋根なんてありません。降ったらその雪を除雪する必要があります。

この余計な仕事が増えたおかげで、開通式を本来ならば12月25日に予定していましたが、結局遅らせざるを得ない状況になりました。

そして仮開通へ

工事が終了した大晦日。

大雪の日で、しかも大晦日にもかかわらず、開通式は実施されることになりました。

開通式に出席した吉村県知事は、この道路の開通を宣言するとともに、この日本一の橋の名前を「肘折希望大橋(ひじおりのぞみおおはし)」とすることを式辞で申し述べました。

肘折地区の住民の皆さんからは、不眠不休で命がけで橋を建設した施工業者に花束とお礼の言葉が贈られました。

画像引用:大蔵村HPより

こうして無事にテープカットを終え、肘折希望大橋は、大雪の中、無事に仮開通を迎えることができました。

画像引用:大蔵村HPより

肘折希望大橋、本設工事始動!

画像引用:大蔵村HPより

年が明けてしばらくたった平成25年4月下旬。

肘折希望大橋の本設工事のため、迂回路の除雪作業が行われました。

4月下旬と言えば、春でポカポカ良い陽気、なんて言ってられないのがここ肘折地区。

未だに大量の残雪が残り、雪崩の危険性だってあるんです。

画像引用:大蔵村HPより

そんな状況の中、慎重な除雪作業が行われました。

GW明けの5月7日、肘折希望大橋の本格的な工事が開始されました。

まずは舗装盤の撤去からスタート。

よく目にする、道路の上っ面を剥がしていくやつです。

画像引用:大蔵村HPより

舗装盤の撤去をたった3日間で完了させ、橋の上部の解体作業が開始されました。

仮設橋の解体を進めながら行われたのが本設用の新しいケタの設置です。

画像引用:大蔵村HPより

新しいケタの設置には、65tクレーンが使用されました。

このケタ設置で心強かったのが、この橋の仮橋工事を実施したメンバーと同じメンバーが揃ってくれたことだったそうです。

同じメンバーですから、そりゃ作業もはかどります。

本設工事ですから、細心の注意を払って工事が進められました。

雨の日だとできない作業があったり、一気にその工程を終わらせないといけなかったりと、工程上も厳しいものとなりました。

画像引用:大蔵村HPより

工事の複雑さと、今度襲ってきたのは夏の暑さ。

作業員は、暑さに体力を奪われ、工事図面の複雑さに頭を常に悩まされながら作業をしなければいけない過酷な状況であったといいます。

そんな中、作業員たちに朗報が入りました。

この肘折希望大橋の仮設工事が「山形県優良建設工事顕彰」を受賞したとの知らせが入り、吉村県知事から表彰状が手渡されました。

画像引用:大蔵村HPより

たまにはこういう嬉しいこともあっていいですよね。だって、あれだけ命がけで頑張ったんですから。

その後の作業で苦労したのはコンクリートの打設工事でした。

天気予報と格闘し、雨が降れば作業工程を変えざるを得ないような状況が続きました。

また、コンクリートの打設面積が広いため、日によっては朝から晩までぶっ続けで実施されることもありました。

全てのコンクリート打設が完了したのが10月25日のこと。

画像引用:大蔵村HPより

天候の影響などで工事が遅れたため、作業スピードを上げ、急ピッチで施工することになりました。

その結果、本来5日かかる作業を3日で行ったり、天気予報と格闘しながら道路舗装をする日取りを決めたりと、知恵を絞り、11月24日に道路舗装が完成しました。

肘折希望大橋、本開通!

そしてついに、大規模地すべり発生から約600日後の平成25年11月30日、待望の開通式を迎えることとなりました。

画像引用:大蔵村HPより

こうして、全長240mの日本一の鋼製ラーメン桟道橋「肘折希望大橋(ひじおりのぞみおおはし)」は完成しました。

この工事で全力で頑張った方々

・沼田建設株式会社(山形県新庄市)の皆さん

・永井建設株式会社(山形県新庄市)の皆さん

・JFEシビル株式会社(東京都台東区)の皆さん

・ひまわり物流株式会社(山形県新庄市)の皆さん

・マルイ工業株式会社(山形県山辺町)の皆さん

・株式会社親和の皆さん

・吉田工業の皆さん

・仙台溶接株式会社の皆さん

 

・山形県職員の皆さん

・山形県大蔵村役場職員の皆さん

・国土交通省職員の皆さん

 

・肘折温泉郷の皆さん

いかがだったでしょうか?

大規模地すべりという緊急事態に見舞われた肘折温泉郷。

温泉郷が孤立したり、ダム化して水没してしまう危機的状況の中、知恵を絞って奮闘した大蔵村と山形県、国土交通省。

 

一刻も早い橋の完成を、と真冬に命がけで作業を続けた施工業者の皆さん。

その工事を陰でサポートし続けた肘折温泉郷の皆さん。

大変お疲れ様でございました。

 

「肘折希望大橋」は、その名前のとおり新しい肘折温泉の観光地として、さらにはその橋の構造の教材として、日本全国から人を集める、肘折温泉郷のまさに「希望」となりました。

全国の皆さん、肘折温泉郷へ旅行に来た際は、ちょっとこの橋に立ち寄ってみませんか?

(この記事を作成するに当たり、大蔵村HPを参考とさせていただきました。⇒【山形県大蔵村HP】

おわりに

当ブログでは、我が山形県への旅行や移住、特産品の購入を考えている全国の皆さんに対し、少しでも役に立つ情報をまとめています。

わたしが実際に観光地などに行ってみて直接取材していますので、限りなく観光客と同じ目線に立って記事作成に当たっています。

実際にその場所まで行く必要があるので、ちょっと記事を書くペースは遅くなるんですけど・・・

この記事以外にも、山形県内のそれぞれの地方ごとにまとめた記事がありますので、ぜひコチラもご覧ください!⇒【山形県を遊び尽くす】

以上でーす!

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