
先日、テレビを見ていた時、とある飲食店店長がテレビ取材に対してこのように発言しておりました。
と。
ご存知の通り、今の日本は人口減少が著しい上、景気の影響により求人倍率が上昇、売り手有利な社会が続いている状態です。
このインタビューを受けていたのは飲食店でしたが、慢性的な人手不足に見舞われている企業はものすごく多いものと思われます。
そんな中、わたしは当飲食店インタビューの中の「穴を埋める形で雇う」という言葉に注目しました。
「穴を埋める形で雇う」つまり、「働き手を確保するため、誰でもいいから雇う」という最終手段的な雇用形態を表す言葉です。
この雇用形態は、もちろん複雑難解な専門性が要求される専門職には適用されないでしょう。そりゃそうですよね、専門職に知識技術が無い人を雇っても、専門的な仕事などとてもできませんからね。
現在、主に「慣れたら誰がしても大差ないような仕事」の業種が行っている雇用形態であり、実際に世の中の仕事の大半はこういう「慣れたら誰がしても大差ないような仕事」です。
今回わたしは、企業がこのような最終的な雇用形態をとった場合、企業側にどんなメリット・デメリットがあるのか、さらに今後雇用情勢はこのような「誰でもいいから雇う」的な雇用状況一辺倒になるであろう理由について自論を展開していきたいと思います。
当記事における考察は全てわたしの手前勝手な自論でありますから、異論反論一切認めませんので悪しからず。
「誰でもいいから雇う」という雇用形態のメリット
「誰でもいいから雇う」という雇用形態のメリットは、もちろん必要人員を確保できること。
世の中の仕事、飲食店のようにマンパワーでこなさざるを得ない仕事はまだまだあります。
人員を削減するための便利なロボットがあっても、高価すぎるために購入することができない中小企業・零細企業は実際に数多く存在するものと考えます。
そういう企業にとって、やはり最大の力になるのは人の力です。
実は「誰でもいいから雇う」メリットって、これだけなんですよね。マジで。
「誰でもいいから雇う」という雇用形態のデメリット
続きまして「誰でもいいから雇う」という雇用形態のデメリットについて考察していきます。
人材レベルが安定しない
「誰でもいいから人員の穴が埋まればいい」という理由で応募してきた者を即採用・雇用する場合、新入社員のように入社試験を経て入社するものではありませんから、企業側が求める一定レベル以上の人材のみを雇用することは絶対にできません。
とすると、当然学歴・知能指数が低い人や一般常識に欠如した人を雇用することにもなりかねません。
そうなることにより、その仕事に必要な技術の習得に個人によりかなり大きな差ができることはもちろん、人間関係トラブルや、社内における犯罪行為等の思いもよらないトラブルが続発する可能性だって大いにあります。
わたしが以前書いた、【職場の同僚に対する悪口・陰口は、最終的に自分の身を滅ぼすってマジ!?】に出てくるような「陰口モンスター」や、他人にマウンティングする癖のあるようないわば「人罪」を雇う事にもなりかねないのです。
「誰でもいいから雇う」という雇用形態を採用せざるを得ない企業は、自ずとこのような「人罪」を雇わざるを得なくなることを容認していただくほかありません。
簡単に離職する可能性が高い
「仕事に対する意識」というものは、人間の性格が千差万別であるように、個々人によって違うものです。
金銭的に余裕が無かったり、家族を養っていかないといけないなどという働かないといけない理由が存在している人はもちろん、時間つぶしのために働きたい人や、単にお小遣い稼ぎのために働きたい人など、仕事に対する熱意や意味合いも違ってきますよね。
仕事に対する意味合いが違ってくるということは、退職についての考え方だって違ってきます。
「やっと入社できたんだから絶対に辞められない!」と意気込む人はもちろん、「なんか合わないからもういいや」と安易に辞めていく人もいるでしょう。
当たり前のことですが、正社員・契約社員・派遣社員・パート・アルバイトなど、雇用形態の違いによっても離職率は大きく変わってきます。
一定基準のある入社試験を受けずに入社できたからこそ、辞めるという判断だって一瞬です。
そうやって「誰でもいいから」と雇用した人材が簡単に離職していくから、企業側はまた「誰でもいいから」と、焦ってテキトーな雇用方法を取るしかなくなるのです。
企業への帰属意識が低い
前述した「辞めるのも一瞬」ということにも繋がりますが、「誰でもいいから雇用する雇用形態」で雇用した人材は、もちろんその企業の帰属意識だって低いものです。
何もこの雇用形態で雇った人材に限らず、入社したての人材は基本的に帰属意識が低いものです。
もっと言えば、企業側が入社したての人材に帰属意識を求めることは無謀と言えます。
帰属意識が低いということは、言い換えれば「会社のことを何とも思っていない」ということなのですから。
「その会社に染まらない」「染まる気が無い」とも言えますね。
穴を埋めるために、「誰でもいいから」と考え訳の分からない人材を大量に雇用したということは、その雇用した人間全員の帰属意識が皆無だという事実を企業側は覚悟しておかなくてはなりません。
帰属意識が無いからこそ、その企業のことを何とも思わない。だからミスをして企業に迷惑をかけても、簡単に退職しても何の悪気も感じることはありません。
「誰でもいいから雇う」形態を取らざるを得ない業種は、もはや業種として魅力が無い
はっきり申し上げて、「誰でもいいから雇う」という雇用形態を取らざるを得ない企業や業種は、もはやそれを仕事にするだけの魅力が無いのです。
もう一度言います。
もはやその企業・業種を仕事にするだけの魅力が無いのです。
その点については「人口減少」やら何やらを言い訳にしてはいけません。
人気のある職業は衰えることなくいつまでも人気がありますから。
当たり前のことですが、人手不足ということは人員割れをしているということです。つまり、どう考えても人気が無いということです。
さて、その人気の無い原因は何でしょうか?賃金でしょうか?待遇でしょうか?
最低限、賃金や待遇について、求職者に好感を抱いてもらわなければ応募者が増えることはありません。
今後、大半の企業は誰でもいいから雇わざるを得なくなる!
新卒者に信じられないほどの高い給与や好待遇を掲げて、専門的な知識技術を持つ人材を大企業が競って獲得しようとしているのはご存知のとおりです。
でも、そんな好条件な好待遇を掲げられるのはほんの一部の企業で、その企業の恩恵を受けられるのもほんの一部の人材だけでしょう。
一番最初に書きましたが、現在日本に存在する企業の多くは、「慣れれば誰がしても大差ないような仕事」をしています。
そんな業種である以上、人口減少が進んで労働人口が減少し続けるこれから先、求人募集など掛けても全然応募者が来ないという事態になる可能性は十分すぎるほどあります。
「誰でもいいから雇わざるを得ない」という状況は、思っている以上に早く着実に忍び寄っていて、業種・企業によっては既にそうなってしまっているところだって多数あります。
今現在、このような雇用形態を取らざるを得ないのは、建設業・小売業・飲食業などが上げられます。
これから先、これらの業種はもちろん、これ以外の業種にも同様の流れが広がっていくことでしょう。
応募者側からすれば「選ばなければ仕事などたくさんある」という非常にラッキーな環境なんですけどね(笑)
では、「どこでもいいから働こう」と考えている求職者側からすれば、どのような判断基準で応募する会社を決めるのでしょうね?
企業側は、どのようなことを注意すれば人材選別が可能なほどの人材が集まるのでしょうね?
おわりに
さて、それでは次回の記事で、このわたくしけたろーが全国の被雇用者を代表して、「どのような企業であれば応募してみようか」「辞めずに働き続けようか」となるのかについて自論を述べたいと思います。
ハッキリ言って、被雇用者側のわたしから言わせれば「人口減少」とか「人がいない」なんていう理由で「人手不足で大変ですよ」アピールをしている企業は、本当に浅はか極まりないと思います。
被雇用者側から言わせれば、応募が無いってことは「お前の会社に魅力が無いよ」ってことですから。
では次の記事で、企業側はどうしたら求人応募者を増やせるのか、また、どのようにすれば軽々しい離職を防げるのかということについてお話します。