
わたしのいた県警の警察学校には、教官がひと月に1回くらいの頻度で学生が生活する寮内を点検し、寮室ごとの清掃状況や整理整頓の実施状況についてランク付けするというとってもイヤな制度がありました。
この記事内では、その検査のことを「清掃検査(仮称)」と呼ぶこととし、どの県警にもあるという勝手な前提のもと、内容を詳しく説明していきますよ!
これから書くことは、あくまでわたしのいた県警でのことです。各都道府県警により多少の違いはあると思いますので悪しからず。
この記事はこんなお話
「清掃検査」ってなに?
「清掃検査」とは、警察学校の教官が学生の生活している寮内に勝手に侵入し、トイレや洗面所などの共用スペースの清掃状況はもちろん、個人の自室の鍵まで開けて整理整頓されているかを確認する検査のことです。
検査は寮室単位で実施されます。4人の寮室であれば、その4人が連帯責任を負います。5人なら5人です。
ひと月に1回くらいの頻度で強制的に実施され、検査結果の点数に応じて罰則が待っているという、在校中の学生にとっては最もイヤな検査です。
何でそんな検査があるの?
はい、理由はいくつかあると思いますが、確実な理由は「清掃・整理整頓をきちんとできる人間になってもらうため」です。
敢えて説明する必要はないと思いますが、清掃や整理整頓ができない人って、たとえスゴイ実力を持っていたとしても人間としてどこか欠落していますよね。
清掃や整理整頓ができる人間になれることは決して損ではありません。
これ以外にわたしが考えるこの検査が必要な理由の一つ目は「物品管理の力を付けるため」です。
警察では、様々な秘匿文書や警察用品を扱います。
全て大事で、一つも無くすことのできないほど重要なものなんです。
警察学校時代に物品管理の能力を叩き込むことで、卒業配置後の職務に対応できるよう訓練されているんだと思います。
物品管理を考えるうえで切り離せないのが清掃ですね。
キレイにしてこそ物の在処がわかりますから。
清掃検査って、いつ実施されるの?
清掃検査が実施されるのは、100%学生の授業中に実施されています。何の事前連絡もなく、勝手に。
時間帯は不定です。検査に入られたことすらわかりません。
ある日突然、担任教官から検査結果の用紙だけが突き付けられます。
検査結果は「優秀」「普通」「ダメ」の3段階のランク付けをされています。(ランクの名称も仮称です)
このランクが恐ろしいもので、そのランクによってその後の人生がほんの一瞬だけ変わります。
検査教官は担任教官ではありません。自分のクラスだからと甘い採点をさせないためです。
しかも、実施する検査教官によっては、そのいたずら度合いもハンパないんです。
検査もないのに寮内に入り、学生が授業から帰ってくるタイミングを見計らって出て行き不安を与えて笑っているなど、意地悪な検査教官もいました。
ランク付けの基準は?
ランク付けの基準は至って簡単。点数式です。
指摘が1か所あれば1点となります。指摘箇所があればあるほど、どんどん加点されていくシステムです。
「優秀」が0~3以内
「普通」が4~6以内
「ダメ」が7~
こんな感じで基準が決められています。
今わたしが上に書いたのは正しい基準ではありませんよ?
各都道府県警によっても違いますし、わたしも基準が点数式だったってことしか覚えていません(笑)
検査って、何のどこを見られるの?
はい、詳しく説明していきますね。
まず、警察学校の寮は、ずらっと4、5人の寮室が並んでおり、各寮室の共用場所としてトイレや洗面所、洗濯室などが設置されています。
まず検査されるのが共用場所。
・トイレはキレイに保たれているか。
・トイレのゴミは捨てられているか。
・トイレの床は磨かれているか。
・洗面所にはキレイに磨かれているか。
・洗面所に水垢は付いていないか。
・洗面所の排水溝にゴミは溜まっていないか。
・洗面所の床は磨かれているか。
・洗濯室の洗濯機に洗濯物は入っていないか。
・洗濯室の乾燥機に洗濯物は入っていないか。
・洗濯室の床は磨かれているか。
・共用の冷蔵庫に腐った食べ物は入っていないか。
などなど、まだまだあります。
わたしのいた県警では、共用場所のどこかに点数が付くと、そこを使用している寮室の全てにその点数が加算されるというシステムでした。
なので、共用場所は一番きれいにしておかないといけなかったんです。
各寮室についても、
・寮室の鍵はかかっているか
・寮室内の各学生の勉強机の鍵はかかっているか
・勉強机の教科書は番号順に並べられているか
・勉強スペースに不要な物は無いか
・部屋の中に統一感はあるか
・個室鍵はかかっているか
・個室内に不要な物は無いか
・布団はキレイにたたまれているか
・布団の置き方に各学生間で統一感はあるか
・ハンガーの掛け方に統一感はあるか
・床はキレイに掃かれているか
など、まだまだまだまだまだまだあります。
検査結果でその後どうなる?
この検査結果で、検査後の人生がほんの一瞬だけ変わります。
「優秀」をもらった寮室は、当然罰則はありません。
部屋の入口に、次回の検査結果発表時まで「優秀」を示す印を掲げることを許され、寮室員は得意げになります。
「普通」をもらった寮室は、これも特にありません。教官も学生も「ふーん、普通ね」と言う反応です。
で、問題が「ダメ」をもらってしまった寮室。
わたしも「ダメ」を何回かもらいました。
罰則は担任教官により方針が異なるので様々なパターンがありますが。
わたしが体験したのは
「昼食以外の昼休み返上1か月。昼休みは校内の草むしり」
「昼食以外の昼休み返上1か月。昼休みは校内の掃き掃除」
「昼食以外の昼休み返上1か月。昼休みは食堂の外手洗い場掃除」
の3つ。
そうなんです。わたしの寮室は、わたしも含めて清掃に関してはさほど優秀ではありませんでした。
他の教官によっては、
「昼食以外の昼休み返上1か月。昼休みはグラウンドランニング」
とか、
「優秀を獲得するまで土日祝日の外泊禁止」
なんていう超過酷な罰則を受けていたところもありました。
外泊禁止になった暁には、その時の人生が一瞬だけ変わっちゃいますよね。
絶望的になりますよ。それが原因で辞めちゃった学生もいますからね。
いかがだったでしょうか?
警察学校では、学生同士の連帯責任が基本です。
清掃一つとっても、これだけ重要なポジションを占めるんです。
基本、警察学校で実施される警察官養成プログラムは、一寸の抜けもなく全ての分野を網羅しています。
まあ、入っちゃったらやるしかありませんよ。
だって、警察官になるって決めたのはあなたなんですから。
必死こいて頑張りましょう。
おわりに
当ブログでは、警察官を目指している方や、既に警察官採用試験に合格し警察学校への入校が決まっている方に対し、最大限のバックアップ環境を用意しております。
警察官人生最初にして最大の試練が警察学校であり、誰しも不安に感じるのは同じことです。
当ブログでは、元警察官のわたくしけたろーが、自分の実体験に基づき、警察学校での生活の仕方・必需品・試験の勉強方法などについて守秘義務違反に当たらない範囲で、どのサイトよりも細かく記載しているものと自負しています。
ぜひ読んでいただきたい記事がたくさんありますので、どうぞこちらからご確認下さい。⇒【元POLICEMANが色々語る場所】
以上でーす!