
今回は、警察学校着校後2、3日目から開始される訓練についてのお話です。
この訓練は、警察官の間でも「初任科時代に一番キツかった訓練」と評されるほど過酷なものなんです。
肉体的に過酷なのではありません!精神的に過酷なんです!
え?なんでって?
これからじっくり説明しますよ!
これもわたくしけたろーの実体験に基づいていますので、現在の全国各県警の警察学校の指導方法とは異なる可能性があります。
わたしがいた県警でも、近年、この訓練がある程度簡略化&厳しさが緩和されたという話も入ってきています。
元POLICEMANの実体験の一例としてご覧ください。
この記事はこんなお話
基礎訓練とは?
基礎訓練(正式名称があった気がしますが忘れました。スミマセン)とは、一般人が警察官採用試験に合格し、警察学校に着校後から入校式の間までの1週間から10日間程の期間に実施される、「服装」「立ち方」「敬礼の仕方」「方向転換の仕方」等の基礎中の基礎を叩き込まれる訓練のことです。
上に書いたとおり、多くの警察官が「初任科時代に一番キツかった」とするほど、精神的にきつい訓練です。
事実、わたしがこの訓練を受けた時も、たった1週間足らずの期間に、両手を超える学生があまりのキツさに断念し、早々と辞めて去っていきました。
いい質問です、ポコ君。
理由はいくつかあります。建前としては「警察官としての基礎を身に着けさせるため」「入校式で自分の親、警察本部長などのお偉方、テレビなどのメディアを通して、県民の皆様方にそれ相応の姿を見せるため」とされています。
が、それはあくまで建前。建前が存在すれば本音も存在するのが世の常。
本音は「警察官になる上で、精神的にもろすぎる不適格者などをあぶりだし早々に排除すること」「教官に対する恐怖心を植え付け、反抗心のカケラすら打ち砕き、絶対服従を誓わせること」で間違いないと思います。
当然こんなこと警察側から公表などされてはいません。あくまで実体験に基づいた分析です。
こんなことを書いていくと、さらに警察官になる気が失せていきますね・・・。
一つ希望を与えましょう。この訓練の話は、後日笑い話となります!
訓練は、グラウンドや体育館など、広い場所で行われます。
実施時間は、わたしの時で多い時で丸一日、少ない日で半日くらいでした。
教官は、自分の期を担当する教官の他、授業が無く時間がある教官など、たくさん来ます。
学生が体操をするようにグラウンド中に広がります。
最初に実施されるのが服装点検です。制服の折り目に沿ってアイロン線は入っているか、シミは無いか、靴は磨かれているか、等を細かく見られます。
その次に行われるのが、「気を付け」「直れ」、「敬礼」「直れ」、「脱帽」「着帽」などの基本動作。
数日して少し慣れてくると、「右向け右」「左向け左」「前に進め」等の方向転換や方向転換からの移動、列を整える「整頓」などに移ってきます。
「帰れ」「出ていけ」「走ってこい」
訓練項目自体は、まじめに訓練に励めば誰でもそれなりのカタチにはできます。
問題は、その訓練の間に挟み込まれる教官方からの仕打ちです。
「気を付け」をしている最中、ちょっとでも指先や目が動いたという本当に小さなことで、教官から「お前、動けって指示出したか?出されてねえだろ!?やる気あんのか!?」などと咎められます。
もちろん、教官からしたら動いた学生を見つけるということは、おこぼれに預かったワンちゃん同然に嬉しいことです。
だって、見せしめに使える学生を見つけたという事なんですから。
その学生は全員の前で吊るし上げられ、見せしめに遭います。
教「おい、お前だよ、左から〇列目、前から〇番目のお前!やる気あんのか!?」
学「申し訳ありません!」
教「申し訳あるか無いか聞いてんじゃねえんだ!やる気あんのか聞いてんだ!」
学「あります!」
教「やる気ねえなら出てけよ!」
学「やらしてください!」
教「帰れよ!」
などというやり取りが延々となされ、
教「お前、俺がいいって言うまでグラウンドずっと走ってろ!」
と、訓練から出され、本当に延々と走らされるんです。ときには教官がその学生を無理やり引きずり出すんです。
わたしは運よく咎められませんでしたが、とんでもないところに来てしまったな、というのが当時の感想です。
教官方は、学生がそう感じてくれることを狙っていたのだな、と今になって思います。
当時はマンマと食わされたな、という気持ちですね。
ことあるごとにその「帰れ」「出ていけ」「走ってこい」の教官からの罵声と怒号が飛び交います。
が、それだけではありません。
連帯責任の恐怖
個人攻撃を見てるだけでも相当キツイのに、今度は全員が肉体的に追い込まれます。
わたしの時はこんなのがありました。
「整頓」という、目で見て列を整えるという動作で、一部の列がきれいに整わなかった時のこと。
教「はい、一部の列がきれいに揃いませんでしたね。気が抜けているようなので、気合が入って元気になる運動をしましょうか。」
教「腕立て伏せの格好用意!」
で、学生は全員腕立て伏せ開始の格好に。そこからずっとその格好。
辛いんですよ。すぐに腕がプルプルし始めるするんです。
他のバージョンもあり、スクワットだったり、バーピーだったりもしました。
スクワットで途中で足がつって動けなくなった学生には、教官から「小鹿」というあだ名まで付けられてたりしました。
この連帯責任も、個人攻撃とともに、ことあるごとに襲ってくるんです。
この地獄の訓練を乗り越えるコツ
この基礎訓練は、精神的にとにかく来ます。
肉体的にもそりゃ疲れますが、心が折れてしまう可能性があります。
ただ、それを防ぐ方法もあります。
それは、「先のことを考えずに、1日1日確実に終わらせていくこと」「1日のことは考えずに、その訓練だけ確実に終わらせていくこと」「今を確実に終わらせていくこと」と、考える幅を極力狭め、ひたすら「今」だけに全力投球していくことです。
わたしはずっとその考え方をしていました。
先を見ると大卒で半年、高卒でも10か月もあります。それで最初からこの非情な仕打ち。
先のことを考えると、先が見えなさ過ぎて不安になってしまいます。
だから、きつい時はとりあえず「今」だけ!
わたしはそれで無事に乗り越えられましたよ!
いかがだったでしょうか?
この「振るい掛け」の訓練を何とか乗り越えれば、多少は教官方の学生に対する接し方が緩和されます。
この訓練中は、周りから退職者が続出する可能性があり、自分の心も折れかねません。
この記事で書いたのはあくまでわたしが当時受けたことなので、8年経った今ではもっと優しくなっている可能性も十分あります。
この訓練が無事に終われば、次は晴れて入校式です!さあ、本当の警察官としての第一歩が始まりますよ!
以上でーす!
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