
今回は、元POLICEMANであるわたくしけたろーが、警察官のクビ事情について徹底的にご説明いたしますよ!
警察官という職業は、他の民間企業や他の公務員と比べても異常なほどにクビになる確率が高いんです。
一言で言い表すならば、「何かしでかしたらすぐにクビ」です。
簡単にクビって言っても、世間でクビと言えば「懲戒免職」ですが、警察はそれだけではありません。
「依願退職」も事実上のクビなんです。
この記事では、「懲戒免職」と「依願退職」の違いや、どのようなときに依願退職せざるを得ないのか、どうしてそこまで警察組織が非情になる必要があるのかについてお話していきます。
この記事はこんなお話
「懲戒免職」とは?
警察に限らず、民間企業でも「懲戒免職」や単に「免職」という言葉を聞いたことがあると思います。
懲戒免職とは、ご存知の通り「クビ」と同義であり「クビ」の正式名称です。
超簡単に詳しく説明していきますよ!
「懲戒免職」は「懲戒処分」の一種
「懲戒免職」は「懲戒処分」という処分形態の一種です。
「懲戒処分」には「免職」「停職」「減給」「戒告」という4つの処分形態があります。
超簡単に言うと「免職」は解雇処分。
「停職」はウンか月間出勤停止という処分。
「減給」は給料をウンか月間ウン割カットという処分。
「戒告」は将来を戒め、「こういうことしちゃ絶対にダメだぞ、お前」ということを示す処分です。
わたしは元警察官だったので他の公務員の事情は知りませんが、わたしのいた県警では、「懲戒処分の指針」という「一定の目安」が文章として規定されていました。
例えば、「殺人・強盗・強姦・放火・・・免職」「窃盗・・・停職または減給」「不倫・・・戒告」なんていう具合です。
つまり、各種犯罪や警察官としてふさわしくない行為に対して「こういうことをしたらこうなりますよ」という決まりがあるんです。
しかもその決まりはアバウトで、事件背景を鑑み、妥当な範囲内で処分を軽くしたり重くしたりすることも任命権者(県警本部長)の自由です。
つまり、事件背景が重大なものであれば懲戒処分で一番軽い「戒告」に該当するものでも「免職」になったり、または「免職」となるようなものでも事案背景によっては「不問」とされることもある、ということです。
「懲戒免職」になるとどうなる?
「懲戒免職」になると、まず退職金が支給されません。
そりゃそうですよね。クビですからね。
さらに、履歴書にも「〇〇県警察 懲戒免職処分」と記載しないといけなくなり、その後の就職活動も困難を極めます。
さらに、懲戒免職を受けた日から2年間は公務員になることができません。
その後の人生に多大な影響が及んでしまうのが懲戒免職処分です。
「懲戒免職」になってしまう条件
懲戒免職になってしまう条件としては、「重大犯罪を犯してしまう」ことや「極度のセクハラ・パワハラ」「極度の職務怠慢」などが挙げられます。
先ほどもお話した通り、懲戒処分の指針という目安がありますので、よっぽどのことが無い限り懲戒免職処分を受けるということは無いでしょう。
「依願退職」とは?
よく、ニュースでこんな記事を見ませんか?
「平成〇年〇月〇日、〇〇県〇〇市にあるスーパーマーケットで、同県〇〇警察署〇〇課に勤務する〇〇〇〇容疑者(年齢)が菓子パン1個を万引きしたとして〇〇警察に逮捕された事件で、〇月〇日、〇〇県警は〇〇容疑者を書類送検とし、減給3か月(10分の1)の懲戒処分にしました。〇〇容疑者は同日付で依願退職しました」
ね?よく見ますよね。
依願退職とは、読んで字のごとく「自ら進んで退職する」という退職方法の一種です。
どのようなときに「依願退職」しないといけなくなるの?
警察にとって、「依願退職」とは「自ら進んで退職する」というというよりも、「懲戒免職以外の懲戒処分/その他訓戒等の部内処分」を受けた警察官が、半ば強制的に辿らなければならなくなる既定路線です。
懲戒免職になるような重大犯罪ではないけど、何かしらの軽微な犯罪を故意的に犯した時や、部下に対する悪質なハラスメント事案、職務怠慢や極度の嘘つき野郎、超重大なミスなどに対して処分が下った時に、「処分」+「依願退職」がセットで提供されます。
本部監察室に呼ばれ、一応事情を聴かれ、「アンタ、今日で辞めてね」となります。
依願退職は、警察組織が処分を受ける警察官に対してのせめてもの情けです。
つまり、「次の職場の履歴書に「〇〇県警察 自己都合退職」って書いていいし、退職金も満額あげる。だから、組織のためにとっとと辞めてくれ」って言う事です。
普通、退職するまでは準備やなんやかんやで数週間かかりますが、こういう時ばかりは「即日」で手続きを終わらせるという驚異的なスピーディーさを発揮します。
「警察官にふさわしくない行為=処分+依願退職」は暗黙の絶対的ルール
もうわかっていただけたと思いますが、警察組織にとって、「警察官にふさわしくない行為=依願退職」は警察官である以上絶対的なルールであり、暗黙のルールです。
警察官は、国民を守り国民の見本となるべき特別な職業です。
そんなお手本になるべき職業の人間が、自分の欲求や感情をコントロールできずに悪事に手を染めたり、規則を破ったりするなんてことは絶対にあってはいけません。
この暗黙の絶対的ルールは、警察官である以上全員が知っている事であり、「警察官として当たり前」のことです。
「液体の水は流れるもの」「海はしょっぱいもの」と同じくらい当たり前のことなんです。
いいですか?
警察官は、落とし物で届けられた1円玉を「たった1円だから」と横領しただけで一発でクビになる職業です。
警察組織はいかなる場合も個人より組織優先
警察組織は、非情なまでに組織を優先します。
監察室に呼ばれ「俺には小さい子供がいるんだ!家のローンがあるから辞められない!頼む!残らせてくれ!」なんて言っても絶対に取り合ってくれません。
「そんなの知らねえよ。テメエが自分でまいた種だろ?」「自分のケツくらい自分で拭けよ」という具合で職員を簡単に切り捨てます。
どうですか?怖いですか?おじけづきましたか?
警察ってマジで非情だな、って思いますか?
そこまで反省してるんだから、あと一回くらい猶予を与えてやってもいいんじゃないか?って思いますか?
じゃあ逆にわたしからあなたに聞きます。
犯罪者を捕まえて国民を守るべき警察に「犯罪者警察官」がおり、のうのうと業務を行っている状態の警察なんて、信頼できますか?
「犯罪者警察官」・・・いち国民として許せる?
警察にこのような非情なまでのルールが存在するのは、正常な警察組織を保ち、警察の職務遂行能力を維持するためです。
犯罪を犯した警察官を雇い続ければ、組織の信用はもとより、国民からのバッシングにより警察の職務遂行能力が著しく低下します。
そうなれば、これまで大人しくしていた犯罪者集団が暴れ出し、犯罪は激増、治安は悪化して、これまで犯罪被害に縁がなかった人たちが次々と被害者になるでしょう。
あなたの家族も理不尽な犯罪の被害に遭ってしまうかもしれません。
警察の職務遂行能力は、今の日本が日本であるために絶対に必要な物です。
あなたの普段の何気ない日常生活を陰で一生懸命に支えてくれている存在です。
だからこそ、警察組織は警察官個人でなく、組織と組織の能力の維持を最優先に行動・決断する必要があるんです。
どうですか?
十分わかってもらえたと思いますが、警察組織にとっては「懲戒処分4種=懲戒免職or依願退職」なんです。
つまり、よくニュースでやっている「依願退職」も事実上のクビに等しいんですね。
けたろー流に名前を付けるなら「隠れ免職」とでもいいましょうか。
警察官を志すあなたにはぜひ覚えておいてもらいたいことです。
大事なことなのでもう一回言いますよ?
警察組織にとって、犯罪者警察官は必要ありません。懲戒免職も依願退職も、どちらもクビと同義です。
でも、これを読んで怖くなったあなたなら大丈夫!
その気持ちを忘れずにいれば、あなたが警察官になった後で道を外すことは無いでしょう。
頑張って警察官になってくださいね!
応援してますよ!
以上でーす!
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