
今回は、元POLICEMANであるわたくしけたろーが、「自首」について詳しくお話をしていきます。
あなたは「自首」って聞いたことありますか?
おそらく「自首」って言葉を聞いたことが無い人はいないと思います。
「自首」とは、一言でいうと
「あの~・・・実は俺、○○(犯罪名)やっちゃって、自首しにきました・・・」
と、自ら進んで名乗り出ることです。
そうそう、こんな感じ。
どうですか?
あなたの知ってる「自首」と一緒でしょ?
でもね、何でもかんでも「やりました」って言って出頭したり、適当なタイミングで「やりました」って罪を告白すれば自首が成立するかと言ったら、決してそうではありません。
そして、自首することにより犯人にメリットがある可能性があることもあなたは知らないはず。
さあ、今回はそんなことを詳しくわかりやすく解説していきますよ!
この記事はこんなお話
「自首」の法的根拠&解説
「自首」とは、しっかりと法律に明記された「捜査の端緒(そうさのたんちょ:警察などの捜査機関が、犯罪を捜査するためのきっかけ)」のひとつです。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。
また出ましたね!法律独特の難しい言葉の羅列!
では、詳しく解説をしていきましょう。
「自首」とは、
「罪を犯した者」つまり「犯罪者」が、「捜査機関」つまり警察(と思っててもらって間違いなし)がその事件の犯人を特定する前に「わたしがやりました。如何様にでも処分してください」と名乗り出た時は、場合によってはその刑を軽くしてあげることもできますよ。(第1項)
被害者が届出なければ成立しない犯罪(例えば器物損壊罪など)を犯してしまった場合は、被害者に「わたしがやりました。どのような処分も受け入れます」などと申告し、被害者が犯人を告訴した場合は、その刑を軽くしてあげることもできますよ(第2項)
ということです。
犯罪行為をして逃げ回っていた犯人・知らんぷりして生活を続けていた犯人が捜査の末に捕まれば、もちろん待っているのは然るべき刑事罰です。
「自首」とは、自分が行ってしまった犯罪行為の後、自ら警察などの捜査機関に名乗り出ることによって、その罪が軽くなる可能性があるということです。
それではまず、どんな条件の元に名乗り出れば「自首」が成立するのでしょうか?
- 犯人が行った犯罪を警察が全く知らなかったとき
- 犯人が行った犯罪を警察が捜査していたが、犯人が特定できず、まだ誰かわからない状態のとき
簡単に言うと、警察にその犯罪の犯人が誰なのかバレていないときに自首すれば「自首」が成立します。
さらに言うと、自首する動機は何だっていいんです。
「良心が痛んだ」でも「このままだとアイツにやられる!」という不届きな理由でも「そのうち犯罪行為がバレて、警察官が家に来て、逮捕されるかもって考えると恐怖で夜も眠れない」なんていう理由だって、何だっていいんです。
ただ、「自ら進んでに犯罪行為を申告した」つまり「自発的な行為」であることが必要です。
自発的な行為であればよく、例えばA罪で逮捕・取り調べされている犯人が、全く警察が認知していないB罪を自主的に申告した場合も自首に当たります。
- その犯罪の犯人を警察が特定している状態であるとき
- 警察官が職務質問をした結果、何らかの犯罪を自供した場合
こんな場合は「自首」には該当しません。
一番わかりやすい例でいうと「指名手配犯」が警察署に出頭し、罪を認めた場合です。
さんざん警察が捜査して、「犯人はこいつだ!」って確実に特定している状態で「実はわたしがやりました」って申告しても、それは「自首」には当たりません。
また、よく間違いやすいのが、警察に「ちょっとA罪のことでお話を聞きたいから警察署に来てね」と任意出頭の依頼を受け、それに伴って出頭、A罪について自供した場合は、これは「自首」ではなく、単なる警察への「出頭行為」です。
もう一度言いますが、自ら警察署などへ赴く「出頭」は「自首」ではありません。全く別物です。
さらに、犯罪をでっちあげて申告した場合も「自首」には当たりませんよ!ウソを申告した場合、別な犯罪に該当してしまいますのでご注意を。
自首をすることによる犯人側のメリット
自ら犯した犯罪行為を告白し、自らその処分を甘受する「自首」という行為。
自分から罪を申告することにより、実は犯人側にかなりのメリットが発生することをご存知でしょうか?
そんな犯人側のメリットの数々をご紹介していきます!
例えどのような理由であれ、自主的に自らの罪を警察や検察に申告し「自首」が成立した場合、捜査機関側は「犯人はそれなりに反省している」と受け取ります
そりゃそうですよね。反省していなかったら逃げ回るか、知らんぷりしてのうのうと日常生活を送っているのでしょうから。
日常生活を顧みずに自首をして処分を求めた行為は、捜査機関側にとっては称賛に値する行為です。
- 本来、逮捕されて強制捜査になるところが、在宅での任意捜査に切り替わるかも?
- 本来、起訴されるはずが不起訴になり、前科が付かないかも?
- もし起訴されても、情状酌量が認められ「執行猶予付き」の判決にしてもらえるかも?
- 被害者には恨まれるが、賠償等の関係がスムーズに進むかも?
「自首をした」という事実を作ってしまえば、その後の刑事手続き上、それが不利に働くことはまずありません。
ただし、あまりに重すぎる犯罪を犯した上での自首の場合、自首による情状酌量は認められない事もあります。
逆に考えてもらいたいのが、罪を犯し、自首をせずに逃げ回ったり、知らんぷりをして生活していた上で検挙された場合、警察にとっても、検察にとっても、裁判官にとってもその心象は最悪です。
「お前、逮捕されなければこの罪を認める気はなかっただろ?」「知らんぷりして今後も生きて行くつもりだったよな?」
と心象を持たれてしまい、そんな犯人にはそんな警察官・検察官・裁判官の心象が含まれた「然るべき処分」が下ります。
罪を犯して逃げている犯人・知らんぷりしていると言うのは、往々にして「警察が来るかもしれない」「逮捕されるのが怖い」など、かなりの精神的負担を常に背負っている状態です。
自首することにより、実際に警察に捕まれば、その心の負担が取れて気分的にスッキリすることになります。
これ、案外重要だと思いませんか?
自首をすることによる犯人側のデメリット
自首をすることによる犯人側のデメリットはたった一つ!
「それ相応の罪を償わなければならない」と言う事です。
もうこれは自首する以上仕方のないことです。それを覚悟で行うのが「自首」ですから。
自分で罪を犯して、自分が原因でこうなった道です。罪を償うことくらい、甘んじて受け入れましょう。
「自首」による具体的な刑の減軽措置
「自首」は、「自首をした」ということで情状酌量が認められ、犯人が本来受けるべき刑を減軽させるための理由の一つに該当します。
そして、その刑を減軽させる割合・程度は、実は法律でしっかりと決まっているんです。
1 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
でもご注意を!
先ほども言いましたが、あまりにも重すぎる犯罪を犯した場合、自首をしても刑が減軽されない場合もあります。
その自首、本当に必要ある??
これはわたしが実際に現職事態に体験した実例です。
ある日の夜、とある若者が「この前、神社から賽銭を盗みました。自首したいのですが」と言って交番に来ました。
若者からすれば、実際に神社から賽銭を盗んだという事実があったのでしょうが、警察官側からすれば、それを立証する手段は何もありませんでした。
賽銭箱はざらざらした木製で、指紋などの証拠資料が残りづらく、被害品はどこにでもある小銭。
最初にいくら入っていたのかもわからず、盗んだ額も大雑把ではっきりせず。
防犯カメラ映像など残っているはずも無く、証言は若者の言葉のみ。
こういった場合、いくら自首したところで罪にはなりません。
なんでかって??
憲法が保障しているからですよ!!
なので、罪を犯したという客観的な証拠があれば別ですが、何も証拠が無く「ただ昔やった」とか証拠が残っていない犯罪のことを自首しても、それは結局無駄になります。
無駄とは言っても、犯罪捜査規範という決まりで、「自首する人がいたら受理しなさいよ」という決まりにはなっていますが、事件化はできないでしょう。
そういう場合は、懺悔でもして良心に問いかけてみてください。
おわりに
はい、ではまとめに入りますよ~!
あなたがもし警察の知らない何らかの犯罪を犯し「良心が痛んで仕方がない」「自首しようかどうしようか悩んでいる」という状況なのであれば、
警察があなたをその事件の犯人として特定する前に、
その罪を犯した場所を管轄する警察署に、
自ら進んで自発的に、
「あの~、罪を犯したので自首します」
と、自首しましょう!
さすれば、あなたはきっと救われる。
以上!
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