
わたしはこの度、会社の定期健康診断にオプションである「胃の内視鏡検査」いわゆる「胃カメラ」を追加し、生まれて初めて鼻から胃カメラを飲む機会がありました。
胃カメラそのものを飲むのは2回目であり、実に十数年ぶりに飲んだわけですが、十数年前に飲んだ際は口から飲んで散々な思いをしたので今回は鼻からカメラを挿入してもらいました。
なかなか経験することが無い貴重な体験であったため、全国の鼻から胃カメラを挿入するのが初めての人に向けてこの記事を残します。
少しでもどこかの誰か様のお役に立てられれば幸いです。
この記事はこんなお話
胃の検査なんてバリウム飲めばいいじゃん。何でわざわざ胃カメラ飲んだの?
残念なことにわたしは今年からバリウム検査の対象年齢であり、本来であればバリウムによる検査を行うはずでした。
それなのになぜわざわざオプション料金を払ってまで胃の内視鏡検査に切り替えたのか少しお話していきます。
ごく最近、わたしの知人が若くして初期の胃がんと診断され、胃の半分を切除する手術を受けるということがありました。術後の知人の話によると、胃がんになった原因は通常のレベルをはるかに超えるピロリ菌が胃に住み着いており、それが原因で発症したということでした。
そんな知人曰く、
「これまで数年間、健康診断でバリウム飲んでいたけど、異常ありと診断されたことは一度も無かった」
「日常生活で『胃が痛い』などという自覚症状は一切無かったにもかかわらず胃がんだった」
「健康診断で念のため胃カメラを飲んでみたところ、初期の胃がんがわかった」
「医師が言うには、自分の胃がんは初期だったけど、それでも長い年月をかけて成長していたものであり、はるか以前から胃がんの種が成長し続けていたということになるらしい」
ということで、
「バリウム飲んで胃がんが発覚した時には、もうかなり進行している可能性があるって医師が言ってた。自覚症状とか何もなくても俺みたいに万が一ってことあるから、念のため胃カメラとピロリ菌検査は受けた方がいいよ」
という非常に重い言葉で締めくくられました。
そんな時、偶然にも年一回の健康診断の機会があったものですから、知人に胃がんについて教えてもらったのも何かの縁だと思い、念のため胃カメラを飲んでみることにしたのです。
胃カメラを飲むために、前日から準備が必要でした
胃カメラに限らず健康診断を受ける場合は何でもそうなのでしょうが、特に消化管検査の場合は前日の飲食が制限されます。
わたしが胃カメラを飲んだ健康管理センターでは、
「前日の20時までに夕食を軽く済ませ、それ以降の飲食は一切禁止。ただし、就寝までは水、お茶、ブラックコーヒーであれば飲んでも良い」
「検査当日は、検査開始まで少量の水以外一切の飲食を禁止」
とされていました。
辛い胃カメラ、口から飲むか、鼻から飲むか
胃カメラを飲むに当たりまず最初にぶち当たる問題が、
辛い胃カメラ、口から飲むか、鼻から飲むか
という問題です。
わたしは遡ること十数年前の二十歳のころ、胃痛のため一度だけ胃カメラ検査を受けたことがあります。その時は口からカメラを挿入したのですが、検査中にオエってなるし、唾液は出てくるし、でも検査中だから呑み込めないし、そのうち涙目になって来るけど涙も拭き取れないし、など、不快感マックスの辛すぎる検査だった記憶が深く刻まれているため、今回は「胃カメラは鼻から挿入する」という決断を致しました。
検査をする前にあらかじめ口からカメラを入れるか鼻からカメラを入れるかの希望が取られるのですが、検査直前に改めて看護師さんに確認をされました。
看護師さんが言うには、鼻炎などで鼻が通っていないなどの理由がある人は鼻からカメラは入れられないということで、口からカメラを飲んでもらってますということでした。
そんな状態であってもどうしても口からカメラを飲みたくないという人は、検査日を変更してもらってますと言っていましたね。
鼻から胃カメラ検査をするため、3種類の薬を使って下準備!
胃カメラ検査をする前に、検査をしやすくするための下準備がありました。
まず看護師さんに差し出されたのは、紙コップに入った「胃の中の消泡剤」でした。
どこにでもある紙コップに、一見して半透明のスポーツ飲料のような液体が50ccほど入っていました。味は、若干のフルーツっぽい風味はありますが全く甘くありません(笑)苦くもなく純粋にマズかったです。
検査前に胃の中の泡を消しておかないと胃の中の視認に悪影響があるということでした。
次にやってきたのは、「鼻のとおりを良くする薬」です。
これは細い管状の器具を両鼻に交互に挿入し、鼻の中で霧状に薬剤を噴霧するというものでした。
鼻の中に薬剤を噴霧すると言っても、たとえば水泳時などに鼻の奥に水が入ってツーンとするような痛い思いをした経験があるかと思いますが、そのような感じは一切ありません。ただし、痛くはありませんが鼻の奥に流れていく薬剤がとても甘苦くて嫌な感じです。
もちろん、この薬剤を飲み込んでも害はありません。この薬により多少鼻のとおりが良くなった気がします。
最後に出てきたのは鼻用の麻酔です。麻酔をする理由はカメラ挿入時の痛み緩和のためですね。
この麻酔はジェル状の麻酔薬をプラスチック製の先が太い注射器で両鼻に注入するタイプのものでした。
少し顔を上げた状態で麻酔薬を注入されると、麻酔薬が鼻の奥に流れて行って喉に落ちていきました。麻酔薬が触れた部分とその周囲の感覚が段々と無くなっていくのがわかりました。
徐々に唾液を飲み込むことすら困難になるほど麻酔が効いてきます。言い表すならば、鼻の奥で何かが膨らんでいるような感じ。
この状態で無理やり唾液を飲み込もうとすると誤嚥してしまう危険がありました。看護師さんからは「唾液を飲もうとするとムセっちゃいますから、飲み込まないで吐き出してくださいね」と指示をされました。
上記の薬の使用と並行して、鼻から胃カメラを入れることについての注意点やリスクの説明もありました。鼻血が出る人がいるとか、検査中は唾液を飲み込むなとか、ゲップするなとか、その程度ですが。
ここまでして検査前の準備完了です。トータルで10分間くらいでしょうか。
検査開始!辛い胃カメラ、鼻から飲んだ!
検査前の麻酔等の下準備が完了すると、いよいよ医師の先生がいる検査室に移動です。
そこには検査台と内視鏡カメラセットが一式用意されてありました。
わたしの場合、体を左半身を下にして真横になり、頭を枕に置いた状態で検査をされました。
枕の隣には、唾液を吐き出せるように受け皿が置いてありました。
内視鏡カメラの直径は5、6mm程度でした。十数年前に口から飲んだ胃カメラはもっと太かった気がしますので、時代の進歩を感じます。知らんけど(笑)
この検診センターの配慮か、検査中の検査映像は被検査者には見えないようにされていました。検査開始直前に出された指示としては、「検査中、リラックスしてぼーっとしててください」「この壁付近を半目で見るような感じで、全身の力を抜いて下さい」ということでした。
指示が終わると、医師の先生が内視鏡にジェルを塗り、有無を言わさず問答無用に鼻から入れられました。
わたしの場合、左の鼻からカメラを入れられました。
鼻から入れているため、もちろん鼻の中に相当の違和感がありますし、内視鏡が入っていく様子が感触で分かります。
内視鏡が喉に到達した段階で「カメラを飲み込んでください」という指示がなされたため、唾液を飲み込むように飲み込むと、カメラが食道方向に進んでいくのがわかりました。
その後カメラが胃まで到達すると、急にお腹がギュルギュル言い始めます。例えるならば、食べ過ぎで消化不良を起こした時にお腹がギュルギュル言っている感じです。
実はこれ、医師の先生がカメラの先端から大量の空気を胃の中に送り込み、胃を膨らませていたのです。そうすることで胃壁の細部まで見逃すことなく観察できるのだそうです。
内視鏡が胃の中であっちこっち動いているのは感触で伝わってきます。ですが、お腹が常にギュルギュル言っているのは決して気分のいいものではなく、不快感マックスです。
カメラを胃から十二指腸まで進めるため、結構な深さまでカメラを入れることになります。最深部まで達すると、カメラを引き抜きながら見てくるのですが、カメラを引き抜かれる時の鼻の感触が最悪です。
鼻本体を内側から外側に引きはがされるような強い圧力を感じるため、これが一番苦痛でした。鼻がもげるかと思いました。
検査終了間際、医師の先生が「では胃の中の空気抜きまーす」と言うと、胃の中に送り込まれた空気がシュウウウウっと抜けていくのがわかりました。というか、純粋にお腹がへこんでいくのがわかりました。
胃の中の空気を抜いて、鼻全体にかかる鼻がもぎ取られるような嫌な圧力に耐えながら内視鏡を引き抜いてもらって終了となりました。
わたしの場合ですが、何も問題なさげにすんなり検査が進んでいきましたので、実際に胃の中にカメラが入っていたのは7、8分くらいでした。病変疑いの部分があったり、人によってはもっと長くなるでしょう。
検査中に考えていたこと
検査そのものに恐怖は一切ありませんでしたが、検査中は実に不快感マックスな状態が続きました。
特に胃に空気を送られお腹がギュルギュル言っている最中は「一体あと何分かかるのよ?」「このギュルギュル不快だわー」と感じ、内視鏡を引き抜く際に鼻に圧力がかかっている間は「鼻もげる~~~!!」と焦っていました。
十数年前に口から内視鏡を飲んだ時は、オエって吐き気を催したり、唾液や涙が止まらないというような状況であり何も考えられる状況ではなかったのですが、今回は色々思考を巡らせる余裕がありました。
全ての思考の果てに行きついた結論が「これ、ブログ記事にしたろ!これブログ記事にしないともったいない!」ということでした(笑)
そう、ブロガーにとってこういう体験は絶好のブログネタなのです(笑)
検査後の説明
胃カメラ検査終了後、撮影した動画を元にして医師の先生から簡単な説明がありました。
非常にはっきりとした胃の内部の映像を見せられるのですが、多分苦手な人はこういう映像って苦手なんだろうな~と思ってしまいました。
幸いなことに病変等の所見は認められないということで、現時点では異常なしということでした。胃の中の状況からおそらくピロリ菌もいないだろうとのこと。
まずは一安心でした。
万が一病変があった場合は・・・
今回、わたしは幸いなことに病変は認められませんでしたが、医師の先生の話によると、10人に1人くらいの割合で病変っぽい部分を有している人がいるとのことです。
その場合は、内視鏡カメラに付属しているツマミで組織を採取し、検査に回すということです。これを「組織生検」と言うそうな。
一回目の検査で病変の有無がわかるというのは、やはりバリウム検査には無い強みではないでしょうか。言い忘れていましたが、胃カメラを飲めばバリウムは飲まなくてもよいのです。
検査後の状況
胃の内視鏡カメラ終了後は、地味に辛い時間が続きます。
まず、鼻の内部の麻酔が切れていないので、唾液を飲み込むのも困難です。ですが、麻酔の効果は徐々に弱まり、麻酔開始後一時間でほぼ元通りになりました。
また、鼻に噴霧した鼻を通りやすくする薬の影響か、わたしの場合やたら鼻水が止まらなくなりました。鼻をかむにしても、「今日一日は強く鼻をかまないでください。鼻血が出る恐れがあります」と注意されていますので、細心の注意を払って鼻をかまないといけません。
何も食べていないためお腹は減るし、鼻水は出るし、麻酔は不快だし、とても不快な状況が続きました。
おわりに
今回、生まれて初めて鼻から胃カメラによる内視鏡検査を受けたわけですが、口から胃カメラを飲むのと比べてみると、圧倒的に鼻から飲んだ方が楽だということに気が付きました。
あくまで個人的な感想ですが、口から胃カメラを不快感度100だとすると、鼻から胃カメラは70程度でしょうか。
そうは言っても、胃カメラを飲むという行為が不快感マックスな行為であるということに変わりはありません。
保険適用にはなりますが、それでも今回約8000円の費用が掛かった上、不快感も併せて付いてくるこの胃カメラ。
そんな胃カメラですが、万が一に備えての安心代だと思えば安いものです。だって、何年かしてバリウム飲んで「アンタ胃がんです」と言われるのは辛すぎますからね・・・。
知人よどうもありがとう。おかげさまで何ともなさそうです。
あなたも、万が一のことを想定して不快感マックスな胃カメラ、飲んでみませんか?