
今回は、元POLICEMANであるわたくしけたろーが、現役時代によく受けたことのある不思議な相談(?)についてのお話です。
それはこんな相談です。
「家の中に置いてあるお金がたびたび無くなるんです。空き巣にずっと狙われてるんだと思います。コワいので調べて下さい」
結論を申し上げます。
こういう現象が起きる原因が「空き巣」だったことはまずありません。
では、原因は何か教えて差し上げます!
家の中から知らぬ間にお金が無くなる原因・・・つまり犯人は「あなたの家族の誰か」です!
え・・・?うそ?
ええマジです。そうだったケースが大半です。
これから事案の状況と対処法を説明していきますよ!
この記事はこんなお話
空き巣を疑うときは、まず空き巣の特徴を知ろう!
空き巣についての詳細は、以前わたしが書いた当ブログのこの記事に書いてありますので、一読してみて下さい!
事例1「家の中からへそくりが消える」
Aさん(女性)は夫と高校生と中学生の娘2人との4人暮らし。
最近、Aさんがこっそり溜めていた「へそくり」の額が減っていることに気が付きました。
原因はわかりませんが、ひと月に1回ほど、いつも決まって数万円が無くなります。
へそくりは冷蔵庫の奥深くに置いてある「消臭剤の容器の中」に入れてあります。
もちろん、家族には内緒にしているので「へそくりどこにやった?」とは聞けません。
Aさんは空き巣を疑っています。
聞き取り調査したところ、家の中が荒らされていたり、不審に感じる部分は無いということです。
また、実際に確認した結果、自宅の窓ガラスを割られていたり、こじ開けるような「工具痕」もついていませんでした。
【その後の進展】
わたしに相談しに来たAさんは、わたしのアドバイスに基づき、家族に対してへそくりがあることを暴露しました。
その上で、家族にへそくりが無くなっていることも伝えました。
夫は身に覚えが無いというので、娘たちを個別に呼び出して話を聞いたところ、犯人は高校生の長女でした。
ある日、冷蔵庫を漁っていたら母親のへそくりを発見し、遊ぶ金欲しさにお金を引き抜いていたということでした。
事例2「家の中の金庫の中からお金が消える」
Bさん(女性)は、高齢の義父母と夫と、小学生の息子2人との6人家族です。
ある時を境に、自宅1階の書斎に置いてあるダイヤルロック式の金庫の中から、Bさん夫婦の生活費が無くなるという被害がたびたび発生しています。
金庫のダイヤルロックの解除ナンバーを知っているのは、Bさんと夫の二人だけ。
夫や家族にに聞いても身に覚えが無く、一切知らないといいます。
Bさん宅は農家の作りなので、日中はいつでも鍵が開いていて、誰でも入って行ける状態になっていますが、必ず誰か家の中にいます。
夜は鍵を閉めて寝ますが、外の小屋の中に自宅の鍵が締まってあります。
これまで家の中が荒らされていたり、窓ガラスが割られていたということもありません。
Bさんは、夜中に誰かが合い鍵を使って侵入してきて盗みを働いているんだと考えています。
【その後の進展】
わたしに相談に来たBさんは、わたしのアドバイスに基づき、詳しく夫から話を聞いたところ、夫がお金を取っていたことがわかりました。
日々の小遣いだけではとても足りず、お金に困った上での内部犯行だったようです。
可能性を排除していけば答えは出る!
現役時代のわたしの元へ相談に来たAさんとBさんは、最初は家族の関与を強く否定していました。
「ウチの家族に限ってそんなことをする人はいない!」という意識がとても強く、空き巣や忍込みによる犯行だとの一点張り。
半分感情的な状態でした。
でも、よく考えてもらいたいのです。
Aさんのケースだったら、
「冷蔵庫の奥深くにあるへそくりの隠し場所を、なぜ空き巣が知っていますか?」
「空き巣が犯人なら冷蔵庫以外の場所に全く異常がないってのもおかしな話でしょ?」
「冷蔵庫をよく使用する人は誰ですか?」
と、事案を一つ一つ分解して考え、可能性が低いものをどんどん省いて行けば、
・泥棒が冷蔵庫の中にある消臭剤の容器の中にあるへそくりしか狙わないのはあり得ないから、外部犯行ではない
・冷蔵庫は主にAさんと2人の娘しか開けない。夫はだいたい「あれもってきて、これもってきて」としか言わない
つまり、Aさんは相談者で犯人ではないので、おのずと容疑者は娘二人に絞られる、ということです。
Bさんのケースであれば、
「日中、家の中に家族がいる状態で堂々と書斎に泥棒が入ってきますか?」
「夜間に誰かが合い鍵を使って入ってきているといいますが、なぜあなたの小屋にある合い鍵の位置をピンポイントでわかりますか?」
「なぜダイヤルロック式の金庫の番号を、見知らぬ空き巣が把握できますか?」
と、分解して精査していけば
・日中、家族が家にいるのに泥棒は入ってこられない
・見ず知らずの泥棒が合い鍵の位置を把握するのは不可能
・見ず知らずの泥棒がダイヤルロック式の金庫の番号を当てるのは不可能
・ダイヤルロック式の金庫の番号を知っているのはBさんと夫だけ
つまり、可能性を排除していって考えれば、口頭で「知らぬ存ぜぬ」と言ってる夫が一番怪しい!ということになります。
信じたくない事実に直面した時の対処法
上に書いた二つの事例通り、家の中の事件を「外部の犯行」だとして警察に通報してくる方は実は後を絶ちません。
「自分の家族に限ってそんなことする人はいない」という感情はよくわかります。
もし家族が犯人であった場合、そんな事実は信じたくありませんからね。
でも、可能性を色々排除していくと、答えはおのずと出ます。
大体は「信じたくない事実」に直面してしまいますが・・・
では、そんな「信じたくない事実」にたどり着いてしまった時、どのようにすればベストなのか、解決策を探っていきたいと思います。
家族会議を開き、やんわりと伝える
まずは、家族会議をひらき、やんわりと物事の概要を伝えるやり方です。
これは主に家族が皆大人だった場合の対処法ですね。
自尊心と羞恥心を刺激しすぎないように事の概要を伝え、「もうバレている」ということをアピールする。
これによって、普通は収束します。
個別に調べ、はっきりと言い聞かせる
次は主に中高校生が疑いの対象だった場合のやり方です。
子供を個別に呼び出し、詳しく概要を説明し、感情的にならずに相手の話を聞きます。
もし子供が犯行を認めたら「この行為は巷では犯罪であること」「この行為を巷でした場合は逮捕されること」を何度も何度も言い聞かせましょう。
子供にはしつこく言い聞かせなければわかりません。
そして二度と手を出さないように約束させましょう。
敢えて調べずにお金の管理方法を変える
これは夫婦二人暮らしだったり、「別に言わなくてもいいや」という時の対処法です。
家族に内緒で、お金の管理方法を変えてしまうんです。
金庫を新しく購入したり、へそくりを別なところに置いたり。
こうすることによって、犯人は「あれ?もしかしてバレた??」となり、その後の犯行は普通であれば思いとどまるでしょう。
家の中でのお金の管理はしっかりと!
このように、家族同士でのお金の問題というのも往々にして存在するんです。
特に、事例1で挙げたAさんのように、現金を金庫にも入れずに色々な場所にしまっておく癖のある人は尚更要注意です。
現金は、必ず金庫にしまっておきましょう。
金庫と言っても、可能ならば耐火耐水性の金庫がいいですね。
このようには書きましたが、もちろん事案ごとに様々な背景があり、当然例外は存在します。
覚えておいてもらいたいのは、なんでもかんでも「見ず知らずの泥棒による犯行」と考えるのではなく、事案に隠れている可能性を一つ一つ検証して潰していけば、「家族が犯人」という最悪な結果の結論に至る場合が多いということ。
あまり起きてほしくない事案ですがね・・・。
まあ、「こんなこともあるんだな」と覚えておいてもらうくらいがちょうどいいのかもしれませんね。
以上でーす!