
今回は、元POLICEMANであるわたくしけたろーが贈る、ひったくり対策第二弾!
「ひったくり被害に遭ってしまった時の対処法」についてお話をします!
前記事では、ひったくりの現状と、狙われる場所・人・時間帯などについてお話をしました。
そして今回は、それを踏まえて、ひったくり被害に実際に遭ってしまった時に取るべき対応についてお話をしていきますよ~!
前回もお話しましたが、ひったくりという犯罪はあなたの所持しているバッグなどを一瞬にして奪い去ってしまう窃盗罪の一種です。
犯行も追い抜きざま・すれ違いざまのほんの一瞬なので、ほとんどの人が無抵抗なまましてやられることになります。
当記事でこれから記載する内容は、あくまで机上の空論の部分があります。
元POLICEMAN目線で見て、
「こういうことを覚えておいてくれたらな~」
とか
「こういう対応を取ってくれたらいいんだけどな~」
などと言う事をお話していきます。
この記事はこんなお話
被害に遭うのはほんの一瞬!
ひったくりは、バイクや自転車に乗った犯人が主にターゲットの後方から接近し、ターゲットが手に持っているバッグなどの所持品を奪い取る犯罪です。
ほんの一瞬の出来事なので、被害発生時に犯人を取り押さえたりすることはほぼ不可能です。
つまり「バッグなどを奪われたうえ、ほぼ確実に逃げられる」と言い換えることもできます。
事実、わたしが現職時代に対応したひったくり事件も、バイク利用の犯人を現行犯で捕まえた例はありません。
現行犯で捕まえられないということは、事後捜査となるということです。
捜査するのは刑事部門。
さて、事後捜査をする上で、どのような情報があれば役に立つのでしょうか??
「ドロボー!!」と大声で叫ぶ
ここからは、机上の空論をお話していきます。
「被害に遭った一瞬で、そんなことまでできるかよ!」とツッコむのは禁止です。あくまで理想論ですから!
まず、被害に遭ったら、逃げて行く犯人を指さしながら大声で
「ドロボー!!!!!」
と叫んでください。
叫ぶことにより、周囲の人はあなたとあなたの指さした方向に注目します。
これにより、多くの人が犯人の姿を目視することになります。
警察では、このような人のことを「目撃者」と言い、事件の捜査においてはものすごく重要な位置づけとなります。
二つの目より、四つの目、八つの目、百の目、千の目です。
一人では見ることができる範囲も限界がありますが、多くの人が目撃することにより、パズルがはまっていくように犯人の犯行時の様子が浮かび上がります。
注意する点は、「ドロボー!!!」と叫ぶ際、防犯ブザーを用いるのは間違いです。
ピピピピピピ!!!
なんて音がしたくらいでは、周囲の人は「ん?どうしたどうした??」となる程度で、あなたに何が起きたか一瞬では理解できません。
犯人は一瞬で逃げていきますので、一瞬で周りの人を犯人に注目させる必要があります。
やはりそれには「ドロボー!!!」と叫ぶのが正解です。
バイクの特徴をピンポイントで覚える
ひったくりは主にバイク利用なので、ここからは犯行使用車両がバイクだったとしてお話をしていきます。
自転車の場合も同様ですので省略します。
被害直後、もちろん110番通報をしますが、その時に警察官が警戒するに当たり重要な情報となるのが「どのようなバイク(自転車)に乗っていたのか」です。
覚えておくべきことは、
車種、車名はもちろん(例:ホンダ・スーパーカブ)ですが、バイクの形状(例:スクーター型)、バイクのナンバープレートがどうなっているのかや、バイクに貼られているステッカー、バイクについているキズなどです。
「バイク固有の特徴」を覚えておくと、後々警察が警戒し、万が一類似バイクを発見した際、職務質問の参考になります。
犯行に使用されたバイクと同種類のバイクは星の数ほど走っていますが、その車種に覚えておいた傷・ステッカーなどの特徴を当てはめると、犯人が使用していた車両を絞り込む際の参考になります。
覚えられるなら犯人の体格・ヘルメットの形状まで見ておく
さらに覚えられるならば、犯人の体格やヘルメットの形状まで見ておくと良いと思います。
服装については、色合い程度で結構です。
結構、こういう犯罪を犯す輩は途中で着替えます。
着替えてしまえば服装の情報など無駄になりますので、それよりも犯人が痩せているのか太っているのか、ヘルメットはフルフェイス型なのかジェットタイプなのかなどの方が重要と思います。
間髪入れずに110番通報をする
上に書いたことを一瞬で記憶した後は、間髪入れずに110番通報をしましょう。
間違っても、最寄りの警察署の加入電話に通報したりしちゃダメですよ!
110番通報と最寄りの警察署への加入通報とどちらが早いかはこちらの記事を読んでいただければ一目瞭然です。
リンク先の記事でも書きましたが、真っ先に伝えるべきは犯人についての情報です!
間違っても、勝手に自分の名前や住所なんかを話始めないようにしましょう。
警察に110番通報をすると、ひったくりは重要犯罪なので、その周辺の警察官が総動員されて犯人探しが始まります。
・・・ですが、圧倒的に捕まらない事の方が多いのです。
だって、よく考えてみてください。
ひったくり後、犯人が時速60kmで逃げて行くと仮定して、被害発生後1分で警察に通報、管轄警察署や応援部隊に110番指令や緊急配備などが発令されて警察がまともに動き出すまで5分かかると仮定しましょう。
その時には、犯人は犯行場所から5㎞も離れた場所に移動しているんです。
もちろん、そのあたりは警察もわかった上で範囲を広げて捜索しますが、周囲5㎞って、かなり広いですよ?
ひったくりを発生直後に検挙できた場合、それはまさに「運が良い」としか言えない現状です。
警察に被害届を出す
警察官が現場に到着したら、被害届を出しましょう。
被害届は、警察官が代書してくれますので、あなたは警察官に被害時の状況や盗まれたものを事細かに伝えるだけで結構です。
警察官が代書した被害届に署名押印(指印でも可能)したら、被害届は終了です。
被害届と並行して、実況見分と鑑識作業が行われることになります。
実況見分とは、被害時の状況を場所・モノ・時間帯・距離・天候・犯人の犯行方法などを、警察官の全ての感覚器官を用いてありとあらゆる観点から徹底的に記録する作業です。
写真撮影もありますので、立会人として立ち会っていただく必要があります。
また、ひったくり被害時に、例えば相手の腕を爪で引っかいており、犯人の皮膚片が爪の間に挟まっている可能性があるとか、犯人が何かを落としていったとかした場合、犯人に結び付く重要な証拠になりますので、その際はそれを証拠資料として警察に預けましょう。
特に犯人に結び付くDNA資料は強いですよね。
このように、現場に来た警察官に対し、被害届の作成・提出、実況見分の立ち合い(写真撮影を含む)、鑑識作業をしてもらいましょう。
クレジットカードを止める
ひったくられた持ち物の中に運悪くクレジットカードが入っていた場合、犯人によってはそれを利用して勝手に買い物をする可能性がありますので、真っ先にクレジットカードを止めましょう。
クレジットカードを止める連絡先の一覧表を警察官が所持していますので、(もしくは、最寄りの交番に行けば100%あります)クレジットカード会社に連絡をして、盗まれた旨を伝えてカードを停めてもらいましょう。
後日取る手続き
被害の後日に取るべき手続きとして、おそらく被害品は出て来ません。
ひったくられたバッグの中に運転免許証とか、保険証とか、重要なものが入っていた場合は、関係機関に連絡をして再発行等の手続きを取りましょう。
ひったくりの犯人と言うのは、捕まえて叩くと何百件と言う余罪を吐き出す場合があります。
大体、あなたの提出した被害届を元に捜査をして犯人検挙に結び付くというよりは、別のひったくり事件を捜査して犯人を逮捕し、余罪を追及したらあなたに対する犯行の事実が判明した、というパターンの方が圧倒的に多いと思います。
犯人が捕まれば、警察からあなた宛てに連絡が来ます。
犯人の氏名などを教えてもらえますから、被害の回復ができるのかどうか、損害賠償の請求ができるのかどうか、知り合いの弁護士に依頼するのも一つの手です。
その辺は、わたしよりも現役の警察官の方が圧倒的にうまい説明ができるでしょうから、そちらに聞くのがベストです。
また、犯人が検挙されていないけど、その辺に投棄されているあなたのバッグなどが発見され、警察官が保管下に置いた場合もあなたに連絡が来ます。
落とし物として届けられたり、交番や駐在所勤務員が犯罪の被害品と特定して領置しておくのが一般的ですので、その交番や駐在所宛に取りに行くことになります。
その場合は、免許証や保険証などの身分がわかるものと、朱肉の使えるハンコ(三文判で可)を持参していくようにしましょう。
おまけ:被害発生時、一番やっちゃいけない事
最後に、ひったくり被害に遭った瞬間、一番やっちゃいけない事についてお話します。
それは・・・
モノに固執してバッグから手を放さず、犯人に引きずり回されることです!!
相手は主にバイクです。
その力は、ご存知の通り人間の比ではありません。
バッグを絶対に離すまいと固執した場合、走り去る犯人のバイクから引きずり回される可能性があります。
大ケガの原因になります。
ヘタしたら命を落としてしまいかねますので、十分に注意が必要です。
おわりに
いや~、完全に机上の空論でしたね(笑)
ひったくりの被害に遭ってこんな完璧な対応が出来たら、それはそれで素晴らしいことです。
でも、こういう抜けの無い対応をすることで、犯人検挙にも結び付き、また自分に対する被害も最小限に抑えることができます。
もちろん、被害に遭わないように予防策を講じておくことが一番重要なことです。
ひったくり犯は、あなたが気付かないうちに勝手にあなたをターゲットとし、あなたの持っているバッグなどを奪い取ろうと虎視眈々と狙っているかもしれません。
都市部の駅前・駅前から続く住宅街への道・繁華街などでは、自分の持ち物に対し十分に注意するようにしましょう。
あなたがひったくりの被害に遭わないように願っています。
以上でーす!