
今回は、約3年前、当時2歳のわたしの上の息子が「先天性鼻涙管閉塞症(せんてんせいびるいかんへいそくしょう)」とわかり、小児専門病院で手術をして治した時の話をします。
このページにたどり着いたということは、読んでくれているあなたの子供さん、「先天性鼻涙管閉塞症」と診断を受けてしまいましたか?
もしくは、お子さんの目の症状を検索していたらたどり着いたのでしょうか?
いずれにせよ、心配になる気持ちは十分にわかります。
まずは色々と情報を集めてその病気がどういう病気であるのかきちんと理解しましょう。
わたしの息子はこの病気と診断され、最終的に全身麻酔を使っての手術となり、無事に完治しました。
この記事はこんなお話
「先天性鼻涙管閉塞症」ってなに?
涙は本来、両目の鼻側の付け根の上下にある涙の通る穴「涙点(るいてん)」から鼻の奥に流れていきます。
このときに涙が鼻の方に流れていく管があるのですが、これを「鼻涙管(びるいかん)」といいます。
「先天性鼻涙管閉塞症」とは、この鼻涙管に先天的に膜ができており、そこで涙がストップ&逆流して涙点からあふれてしまうという、ちょっと地味にイヤな病気です。
どんな症状がでるの?
わたしの息子の場合、「なんかおかしくね?」と親が気付いてあげられた症状として、
① ずーーーーっと、片方の目だけ、異常に涙があふれてる
② 片方の目だけ、目やにが拭いても吹いても止まらない
という症状がありました。
すぐ泣く子だったので、最初はそのせいなのかと思う気持ちもありましたが、念のため近所の有名な個人経営の小児科に連れていくことにしたのです。
最初に連れて行ったのは息子が1歳半ばころ。
小児科先生の診断の結果としては「大丈夫じゃね?そのうち治るでしょう」とのこと。
おーーーい!そんなんでいいの!?と、今になって思いますが、当時は「ああそうなんだ、よかったね」くらいにしか感じていませんでした。
目薬を出され指し続けたところ、若干症状が改善したように見えました。
が、すぐに再発。その後症状は一向に収まりません。あまりにも目やにが大量に出るので、今度はちょっと離れた場所にある小児科総合病院に連れて行くことにしたのです。
「先天性鼻涙管閉塞症」の治療法
病院に行き、眼科を受診しました。
やっぱり専門医。一発で「先天性鼻涙管閉塞症の疑いがありますね」と見抜いてくれました。
と同時に、「本当に鼻涙管が閉塞しているのか確認をしたい」と言われ、生理食塩水を涙点から鼻の奥に流してやる検査をしたいと言われましたが、そこは当時2歳のわがまま坊主。言う事など聞いてくれるはずがありません。
ちょっと目を見せて?「びええええーん!!!」
ここにおでこくっつけて?「びえええええーん!!」
先生お手上げ。検査も全くできずに終了。見事息子の一本勝ちでした。
本来の治療法としては、まず鼻涙管が本当に詰まっているのかを確認するため、生理食塩水を涙点から鼻に向かって流す検査をするそうです。
その後、自宅で目薬を差しつつ、鼻涙管を鼻の上から押したりしごいたりするマッサージを継続して行うことで、鼻涙管の中にあるであろう先天的な膜が破れて自然開通させる、というのが一般的だということです。
それでも開通しなければ、針金状の物を涙点から差し込み、鼻まで一気に通して膜を貫通させるという手術になってしまうそうです。
月齢の進んだ子供の手術準備は大変!
わたしの息子は、結局、目薬&マッサージでも開通せず、最終的に手術しかないという診断を受けました。
色々話を聞くと、生まれて数か月の本当の赤ちゃんの段階でこの病気に気づければ、自力で体を手術台に押さえつけた上で手術できるらしいのですが、半ば成長したウチの息子のような子供だと、そうはいかないそうです。
まず、既に感情があるので、怖くて絶対に暴れる。
大人数人がかりで抑えても暴れるので、力尽くでは手術できないという先生。
結局、全身麻酔で手術をしましょうということになりました。
ただこの手術準備、めちゃくちゃ大変でした。
何が大変かって?子供が暴れまくるので、各種検査が一向に進まない・・・。
身長体重の測定、眼科での目の状態確認、心電図、血液検査・・・全部拒否!
わたしの息子が特別感情豊か(?)だったからなのかは分かりませんが、全部怖くて泣きじゃくり、わめき散らし、暴れまくり、結局できたのが身長体重の測定と、最低限しておかないといけない血液検査だけ。これも無理やり押さえつけてするしかありませんでした。
手術当日・・・
息子が受けた手術の名前は「鼻涙管開放術(ブジー)」というものでした。
ブジーって、何でしょうね?調べたところ手術で使う針金みたいなのの名前だそうです。
手術当日は朝食だけ食べて良し、昼食は抜いて、午後3時から手術開始というスケジュールでした。
お腹がすいている子供にご飯を上げられないのは、とてもかわいそうでしたよ。
手術開始2時間前に病院に着くと、改めて主治医の先生から手術の説明がありました。
手術をするために使う麻酔はマスク型の麻酔で、一瞬だけ吸わせます、という。
説明によると、麻酔のガス(?)を一瞬だけ吸わせて、意識がもうろうとなったところで手術開始。その後すぐさま針金を差し込み貫通させるということで、それが一番体に負担が無く最善だということです。
手術の時間そのものは5分くらいで、術後30分くらいは手術室内で寝かせておくということでした。
手術室には、ベビーベッドで入っていきました。案の定ぎゃあぎゃあ泣きわめき、暴れまくりの状態でしたが、手術室に入って少しすると泣き声がやみました。
ああ、たぶん麻酔されたな、とわかりましたね。
その後は予定通り手術が行われ無事成功。ぐ~すか寝た状態で手術室から出て来ました。
一瞬だけ吸わせた麻酔の効果も結構継続するもので、午後3時過ぎに麻酔をかけられ、目を覚ましたのが午後5時30分頃でした。
手術後だからだるいのか、麻酔が覚めたからだるいのか、その日は一日中寝ていました。
術後から現在
手術の説明の時、主治医の先生からは、手術をしても完治するのは8割。また再発するかもしれないと言われていました。
術後は何度か、目やにが出たり涙があふれたりなんていう、ちょっとイヤな症状がありましたが、徐々にそれも無くなって、術後まもなく3年を経過する今では涙や目やにがあふれて不快になるなんていうことは一切無くなりました。
今思い返すと、もう少し小さい時に気づいてあげられていれば、もっと楽に治してあげられたのかなと、ちょっと後悔もしています。
本人はもう覚えていませんけどね(笑)
いかがだったでしょうか?
主治医の先生からは、命にかかわるような危険な病気ではありませんと説明を受けましたが、自分の小さい子供の手術の同意書を書き、手術室に送り出すのは、胸がつぶれる思いでした。
でも手術をしたおかげで、今では何ともなく過ごしています。
自分の子供さんがこの病気と診断され、ググってここに行きついたあなたの心配で仕方ない気持ちはよくわかります。
主治医の先生とよく話をして、ちゃんと理解をしたうえで手術に臨めば、さほど不安なこともありません。
この記事を執筆するに当たり、参考にさせていただいた「日本眼科学会」のリンクを貼っておきます。
子供さんが無事に完治することを祈っています。
以上でーす!