
家人の留守を狙い、未施錠の窓や玄関からであったり、施錠されている窓を無理やり割ったりこじ開けたりするなど破壊して家屋内に侵入し、家屋内の金品を物色、金になる物を盗み出す許しがたい犯罪、「空き巣」。
当記事は、前回から四部作編成でお届けしている空き巣対策記事の第二段記事です。
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さて、前回は空き巣を詳しく知らない人に向け、空き巣の概要についてお話しました。
今回からは、具体的な空き巣による被害について、元POLICEMANであるわたしがお話していきます。
数えきれないほどの空き巣被害現場への臨場経験を誇るわたくしけたろーが、空き巣について徹底的に語ります!
この記事はこんなお話
空き巣が主に狙うもの
空き巣が主に狙うものは、金銭的価値を有する「財物」です。
空き巣が狙う財物とは、その代表格である現金はもちろん、宝石・転売すれば現金に還元できる各種諸々の品を指します。その他にも、クレジットカードや預金通帳、キャッシュカードやマイナンバーカードなども含まれます。
つまり、空き巣の犯人にとって、
1 盗んだ直後から直接的な利益となる物(現金)
2 盗んだ後の転売等によって現金化・利益化できるもの(宝石、ゲーム機など)
3 犯人が日常生活でそのまま使う物(服・靴・趣味関係の物など)
4 悪用できるもの(クレジットカード・運転免許証・健康保険証・マイナンバーカードなど)
のいずれかに該当した場合、それは犯人にとって「狙うべき物」に変貌を遂げます。
空き巣は、状況により凶悪犯罪に変貌を遂げる危険性がある
空き巣という犯罪が「窃盗罪」という犯罪に該当するということは第一部でお話したとおりですが、空き巣は時として窃盗罪にとどまらず、その上をいく凶悪犯罪に変貌を遂げることがあります。
どういう場合にそうなるのかと言うと、「犯行現場を他人に見つかった時」です。
空き巣の犯行現場を家人や第三者に発見された場合、口封じのためにその者を殺害してしまった場合は「殺人罪」又は「強盗殺人罪」に該当してきます。
家人らを縛り付けてなお犯行に及んだ際は「強盗罪」になり、この時に家人らが負傷すれば「強盗傷害罪」になります。
空き巣と対峙してしまうということは、ある意味で運の要素が絡んでくる部分ではありますが、万が一対峙してしまった場合、その者にはかなりの危険が及ぶことになります。
空き巣の具体的な行動
それでは、当記事のメインである「空き巣犯の行動」についてお話していきます。
空き巣犯が犯行を重ねる時期・時間帯はもちろん、どのように空き巣に入るべき家を決め、どのような順番を辿って家の中に侵入するのかなどについて、過去に実際に数々の空き巣現場に臨場した経験を最大限に活かして、詳しくお話していきます。
この部分を詳しく理解しておくことによって、被害防止策に最大限に活かすことが可能になります。
犯人がよく犯行を行う時期や時間帯は?
まず、空き巣がよく犯行を行う時期についてお話します。
犯人たちは、一年を通して空き巣を繰り返し働くわけですが、その中でも「ゴールデンウイーク」や「お盆」「年末年始」「3連休」「行楽シーズン」など、実家に帰省したり、どこかに遊びに出かけたりする機会の多い時期は、特に空き巣被害が多発します。
一概には言えませんが、現職時代の経験から、長期連休の最終日は特に空き巣の通報が多いという印象を持っています。
連休期間によそで楽しく遊んで帰ってきてみたら、家の中がメチャクチャにされて物が盗まれており、慌てて110番、というケースですね。
もちろん、前述したとおり、空き巣被害は件数の差こそあれど、通年を通して発生しています。
空き巣による犯行が盛んな時間帯は、家から誰もいなくなりがちな「日中」が圧倒的に多いように感じます。特に若者夫婦が沢山住む住宅街などでは、それが顕著であった印象を持っています。
わたしの経験から行くと、空き巣は平日の朝8時ころから夕方4時ころまでの被害が圧倒的に多い印象です。もちろん、この他の時間帯にも発生しますので勘違いなさらないよう。
犯人が主に狙う家は?
空き巣には、犯人ごとに犯行を行う上での得意不得意があります。
犯人ごとに「狙いやすい家」「狙いにくい家」があり、狙う家の種類そのものを選別して犯行に及んでいると言い換えることもできます。
都会のベッドタウンのような閑静な住宅地を得意としている犯人もいるでしょうし、逆に閑散としている田舎の農家ばかりを狙ったりする犯人もいます。
またはアパートなどの集合住宅・賃貸住宅を得意としている犯人もいます。
ただし、防犯機能がしっかりしていて管理人が在住しているような高級マンションは、普通の一戸建て住宅から比べると空き巣に入るのが物理的に難しいので、一戸建て住宅に比べて発生率は自然と低くなります。
結論として、どんな家でも狙われる可能性がある!絶対安全な家は無い!ということです。
特に狙われやすいのが、下記の画像のように、家と家とが離れている家であったりポツンと建っている家、逆に家が密集している住宅地域、アパートの一階などです。
熟練した犯人ほど入念に下見を行う
空き巣の犯人は、単純に「犯罪者」というよりは極めて「職人」に近い一面を持っています。
熟練した犯人になるほど、短時間で効率よく、かつ人に見つかることなく犯行を重ねます。もちろん、人に見られてはいけないわけですから、狙った家の入念に下見を行います。
家の立地条件や、周辺の人通りの有無、車両の交通量の有無など、そういったものを確認しながら、一軒一軒下見をするのです。
下見の段階で地域住民から不審感を持たれないように、宅配業者を装ったり、作業員を装ったり、時には犬まで連れてきて散歩中の人を演じたりして徹底的に調べ上げた上で犯行に及びます。
もちろん、下見にどの程度の時間・労力を用いるかどうかは、10人犯人がいれば10通りのパターンが存在しますので、一概にこれとは言えません。
犯人が家の中に侵入するまでの流れ
それでは、実際に犯人が家屋内に侵入するまでの流れを説明していきます。
空き巣が目的の住宅の中に侵入するためには、主に5つのプロセスを経なければなりません。
プロセス① 犯人が住宅の敷地内に侵入するため、敷地内に住民がいないことを確認する必要がある
一つ目は、犯人が住宅の敷地内に侵入するため、敷地内に住民がいないことを確認する必要があるということです。
犯人が目的の住宅で犯行を行おうとする場合、家の中に入る前に、まず「対象となる家の敷地内」に侵入する必要があります。
上の画像でいう「家の敷地」の部分になります。
しかし、この部分に住民がおり、それにもかかわらず塀などを越えて入って行けば見つかってしまうということは容易にわかることと思います。よって、敷地に侵入する前には、目的の住宅の敷地内に誰もいないことを十分に確認することが絶対条件となります。
外部から簡単に敷地内が視認できるような住宅であれば簡単でしょうが、塀に囲まれている住宅などでは、住んでいる家人の人数や日々の外出時間などを事細かく下見で把握する必要があります。
プロセス② 犯人が住宅の敷地内に実際に侵入する
二つ目は、犯人が住宅の敷地内に実際に侵入するということです。
目的の住宅の敷地内に誰もいないことを確認した犯人が次にとる行動です。
外部と敷地に塀などの隔たりが無ければそのまま入っていくだけなのですが、塀などの隔たりがある場合は、一目に付かない場所からそれを乗り越えたりする必要があります。
プロセス③ 敷地内に侵入した犯人が、家屋内に侵入するために家の中に人がいないかを確認する必要がある
三つ目は、敷地内に侵入した犯人が、家屋内に入るために家の中に人がいないか確認する必要があるということです。
住宅の敷地内に侵入した犯人は、家に侵入る前に、本当にこの家が留守なのかどうかを確認する必要があります。
犯人が空き巣を行う上で、家の中に人がいないというのは絶対条件です。
そのため、犯人は窓越しに家の中をのぞき込んだり、宅配業者を装ったり、新聞屋を名乗ったりしてインターフォンを鳴らし、家人の留守を確認します。
わたしが現職時代に実際に赴いた空き巣現場では、犯人がインターフォンのカメラ部分を手袋を付けた手で押さえ、自分の顔などが映らないようにしてインターフォンを押していたケースもありました。
プロセス④ 家屋内の留守を確信した犯人が、無閉まりの窓を探す又は窓ガラスを割り鍵を開ける必要がある
四つ目は、家屋内の留守を確信した犯人が、無閉まりの窓を探す又は窓ガラスを割り鍵を開ける必要がある、ということです。
対象となる家の中にも人がおらず、その家の留守を確信した犯人が次にすることは、家の中に侵入するために鍵のかかっていない窓を探したり、窓ガラスを割って窓の鍵を開けることです。
この段階にきて、犯人は初めて対象となる家に物理的なダメージを与え始めます。つまり、窓ガラスを割ったり、サッシをこじ開けたりし始めるのです。
これをしなければ、どうあがいても窓ガラスや外壁で物理的に隔てられている家の中には入ることはできません。
犯人は、窓ガラスを効率的に割るために様々な犯行用具を使用します。
それら犯行用具については、詳しくはこちらに書いてありますので参考にしてください。
⇒【警察庁 住まいる防犯110番「器具で見る侵入犯罪の脅威」】
もちろん、被害に遭った全ての家で窓ガラスを割られるというものではありません。玄関や窓が無閉まりであった場合、犯人はそこから侵入しますので、建物へのダメージが無い場合もあります。
プロセス⑤ 犯人が家屋内に侵入する
五つ目は、家屋内に侵入するということです。
無閉まりの窓や玄関があったり、窓ガラスを割って窓の鍵を開けた犯人は、とうとう家屋内に侵入してきます。
おわりに
十分わかっていただけたでしょうか?
なぜわたしが空き巣犯の行動を事細かに説明したかと言うと、空き巣犯がどういうプロセスを辿って犯行に及ぶのかを知ることにより、そのプロセスの数だけ被害防止策を講じることが可能となるのです。
闇雲に被害防止策を講じようとしてもそれは無意味です。
空き巣の行動を理解し、「自分の家に空き巣が入るのであれば」という視点で考え、被害防止策を講じる必要があります。
次回、第三部では、空き巣から自分の家や財産を守るための具体的な被害防止策を、おススメの防犯グッズを交えてお話していきます。
以上でーす!